6万打記念小説
□言葉の意味
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それはユーリに取っては何気ない一言であったのだ。
バンエルティア号で一緒の部屋になって、気が付けばいつも一緒に闘う事になってそれでもその息の合いようったらなくて、話も同い年で合うし話し上手なこいつと居るのは正直にとても楽しかった。
しかも何処か危なっかしくて、時折馬鹿してって言う所も可愛くて気が付いたら好きになってた。
それはゼロスも一緒だったようで夜も一緒に過ごした事もあった。
そんな、関係で気兼ねなく一緒に夜の静かな食堂で酒を飲んでいたわけだが。
「ゼロスって、救いの神子とか言われてるけどよ、それって実際必要ねぇよな」
酒を飲みながらの席、ゼロスに「救いの」なんて言葉を付けるなんて今更だよな、と言う意味を込めて言ったのだが。
「……!」
その言葉を皮切りにゼロスの言葉は無くなり、酒の入った頭でゼロスを見れば。
「……ゼロス?」
「あ、や、……何でもない!俺さま先に寝るな!」
一瞬強張ったような顔が見えたような気がしたが、直ぐにへにゃりといつもの笑みを浮かべてゼロスは慌ただしく席を立って食堂から出て行った。
「……なんだ?あいつ」
変なもん食ったか?と己らの食べ散らかしたフルーツ(主にメロンしかないが)と特大金魚鉢パフェ(主に食べたのはユーリだが)を見ながら首を傾げたのであった。
『言葉の意味』
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