6万打記念小説

□可愛い顔してあの子はやるものだねと
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俺には好きな女がいる。







今まで別にこれと言って好きな女がいたわけでもなく、どうせ好きになるなら俺と付き合えるだけの器量と少しだけの度胸がある女がいいなぁ。

ついでに甘味の腕があればいい。

…………くらいに理想を親友に語っては、それだから彼女の一人もいないんだよ、と言われた事もあった。それはお前もだろうと言う言葉を呑み込んでいたそれから幾ばく。

















しかし、今。現在どうかと言えば。





「ちょっとー、ユーリ君先に行かないでよ、置いてったら泣いちゃうぜー?」

どこか言葉が男勝りで。

「おっれさまカッコいー!!サイコー!!」

魔物にも物追いせずに立ち向かう、そんな女に。





「………なんで、こんな奴が好きになったんだろな……」

「ん?なんか言ったか?」


自前のメロンパフェを御馳走してくれるゼロス・ワイルダーという女性にユーリは大きなため息をついた。
きょとんと首を傾げてくれる相手は、確かに己が言った全ての条件を満たしている。
しかも、とても美人だ。
そこらの女性の比では無い。


女に間違えられ、しかも一緒に居る女性よりも先に声を掛けられる事の多かったユーリだが、流石にゼロスと歩くとそう言う事は無く。男の視線のほとんどは確実にゼロスに向けられていた。

美男美女、と、もてはやされるまで。
それは、まぁ嬉しい事でもあるが。








問題は。







「あ、ロイドくーん!!」

「っだ!ゼロスいきなりひっつくなよ!」

「でひゃひゃ、いいだろ別に〜」

「……またかよ」

一部の男性を除いてまるで逆ナンパをするような会話は日常茶飯事。
ついでに自分が嫌いな貴族、しかも第貴族の領主だと言う相手のその地位に、たまに思い知らされる金銭感覚の違い。
そんないらないおまけつきだ。



「それでもなお魅力的で困ってる、というような顔ですねぇ」

「…………」

と、隣にカレーの盛った皿を持ったジェイドが隣に座ってくる。
目線で勝手に人の思考を読むなと睨みつければ肩を竦めてくるので、ユーリはもう気にしない事にしてゼロスの作ったメロンをふんだんに使った見た目にも高級そうなパフェを口に運んだのである。

























可愛い顔してあの子はやるものだねと
















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