6万打記念小説

□消えない影
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依頼は常に何が舞い込むかは分からない。






この世界グラニデにいる人数と同じ、それ以上に悩みはあって、その中でも一人では解決できない人、己らではどうにもできない人がギルドに助けを求めてやってくる。
それを、新設だが気のいいクルーの集まるこのアドリビトムでは「放っておけ」なんて考える人などいるわけがないのだ。

その為、どんな小さな子供の依頼でも、依頼のお金に困るような人からの依頼でも気軽にその収入や依頼のレベルに合わせて依頼をこなせるようにしていた為に多くの依頼が舞い込んできた。
魔物退治に一般人では到底魔物が多く採取不可能な鉱石や薬草の採取、魔物の調査、新たな料理の納品、その他もろもろ。そんな彼らの元にまた、新しい依頼が舞い込んできたのである。

それが。





















「では、今日の依頼です。過去、世界樹の神子達を祭っていた屋敷で、最近良くない事が多く起きるそうなんです。その為、世界樹の神子であるゼロスさん、それと護衛にユーリさん、屋敷を調べて来て下さい。そして魔物がいるようならば排除をお願いしますね」

そう言って今回依頼に朝早くから呼び出された2人に一枚の紙を手渡してきた。
そこには過去、今より一世代前に使われていた、神子を育てる為の屋敷。
実態は、ディセンダーに仕えるべき力を持つ世界樹の神子の血を失わないように取られた処置であったのだが。現在はもう、使われていないその屋敷では昔、さまざまな事が行われたという。
それは分からない事ではあるが。

「………ふうん、神子の屋敷、ねぇ……」

簡単な書類に書いてある屋敷の説明を読んでユーリは首を傾げる。そして、ゼロスの方を向けば………


「ゼロス?」

先程まで、己を呼びに来たのかエステルに話に来たのか分からないような口調で2人に近づき楽しげだったゼロスは、眉間に皺を寄せてじっとその書類を見ていた。

「………ゼロス?おい」

「…ほあ?」

名前を呼んでも反応しない相手にユーリはもう一度声をかけると今度はびくりと大きく肩を揺らして目を丸くし、ユーリに向き直った。

「何、なんか呼んだ?」

「あ、いや……大丈夫か?今すっげぇ顔してたぞ」

「ん、や、何でもない……ってか、これ……」

コレットちゃんじゃなくて良かったわ。
そう、ぽつりと呟いたゼロスにユーリは首を傾げるしかなかった。

「何か知ってるんですか?ゼロスさん」

「あ……やー、な。俺さま達世界樹の神子はこの屋敷に起きた事とか知ってるからよー……」

「起きた事?」

言いにくそうに話すゼロスにユーリももう一度問いかければゼロスは頭を掻きながら天井を見上げた。
そして大きなため息を吐くと書類をチャットに帰した。

「場所も知ってるし、行こうぜユーリ君、途中で話すわ」

そして、先にバンエルティア号を出る為に歩き出したのであった。

































消えない影








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