6万打記念小説

□負けた無自覚の恋心
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「あ……ローっイド君!!」

「おわ!?な、何すんだよゼロス!!」

「何って、ロイド君の背中から抱きついてるだけだけど?あ〜、ロイド君小さくて後ろから抱きつきとサイズがちょうどいいんだよな〜」

「小さいとか言うな!!そのうち、父さんみたいに大きくなってゼロスを追い抜かしてやるんだからな!!!」

「え〜、ロイド君は今のサイズがいいのに〜」


今しがた、依頼から帰って来たユーリは目の前で日常茶飯事に行われる行動、ゼロスが前を歩くロイドの姿を発見し嬉々として、その紅い背中に後ろから飛び付くその様子、そしてじゃれあう二人をじっと見つめると、堪え切れない大きなため息を吐いたのである。





































負けた無自覚の恋心

















「……たっく。ロイド君ってば本気で叩かなくッたって〜……」

「そりゃあんだけくっついて、好きなだけ小さい小さい言ってりゃな」

「…………えー!!俺さまが悪いっての〜?!」

その後、ロイドにこれから依頼があるんだから離れろ、とすっぱり離されてついでに一発頭にげんこつを落とされて行かれ、ゼロスは盛大に痛いと文句を漏らした後に、ぶちぶち文句を言いながらユーリの方に歩いてきて。


別に誰かに向かって言ったものでもなく、半ば独り言に近かったのだろう言葉に反応されたと思われるゼロスはユーリの方をきょとんとした目で見ると、次第に眉間に皺を寄せてユーリに突っかかってきた。






ユーリは依頼を終えた後、正確にはゼロスとロイドのじゃれあいを見てから、このバンエルティア号のご飯を仕切っているパニールの所に言ってケーキを貰って来ていた。
今日のおやつはモンブランですよ、と笑顔で渡してくるパニールに、少しだけ荒ぶった心を落ち着かせる事が出来、ケーキを片手に元来た廊下を歩いていて未だにじゃれつき、そしてロイドに叩かれた所を目撃した、という事なのだが。



「……てか、何よ、そのモンブランは」

「パニール直々、今日のデザートだと」

「ふーん」

頭を擦り擦り、ゼロスがじっとモンブランを見ては、今度はユーリの方をじっと見上げる。
その様子に、他の奴のように可愛い顔をしてやっぱり甘いものが好きなのか。若しくは男なのに甘いものが好きなのか、のどちらかの言葉が飛び出てくるのだと思えば。






「一口ちょーだい」





















で。


「……は?」

今、一瞬何を言われたのか、ユーリは分からずに間の抜けた声を出してしまった。
しかしゼロスはユーリの反応が気に食わなかったのか更に眉間に皺を寄せてユーリにもう一歩近づいた。



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