6万打記念小説

□飛んで火に居る
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「さて、どうしましょうかねぇ」



ジェイドは今、考えていた。
何を考えているかと言えな、理性を優先させるか本能を優先させるかと言う事で。
更に詳しく言うのならば。







「う……う……んー…ユー…リぃ」

目の前の己の部屋のベットで他の男の名前を幸せそうに呼びながら寝ている女のせいなのだが。


どうした事か、グランマニエへの報告を終えて部屋に戻れば己のベッドに横になって熟睡する姿が。
少しだけの思考を巡らせばそう言えば、今日はおなじみの『ビバ。テイルズオブ』の新たなネタを考えると言う話をしようと彼女を呼んでいた事を思い出した。
仕事ですっかり忘れてしまった自分と違い、彼女は約束通り待って、それでも来ない自分に痺れを切らして部屋に押し掛けたのだろう。





そして、そのまま眠ってしまった。



そんな落ちである事など、ジェイドには直ぐに想像できた。
布団の中で膝を抱えるようにして眠る姿は、歳相応以下の年齢に見えなくもない。
そして、眠っていれば大層な美女である事も間違いない。
誰もが一度はその容姿に振り向き、色香に目を奪われる。しかし言葉を交わせばそのマシンガンとも言えるトークと時折混じる言葉の毒の嵐。手を出そうものなら多くは返り打ちにすると言う腕っ節。
薔薇のように美しいが刺がある彼女ではあるが…


「うー……ん」

「こうしていると刺など全くないのですがねぇ」

柔らかな布団の中で寝がえりを打つ姿にジェイドは気配を消しながらその傍に寄ると、頬を一撫でする。部屋が少しだけ冷えていたためか、寝る事で体温を奪われていたゼロスは無意識に自分よりも温かなジェイドの手にすり寄り、その様子にジェイドは苦笑いを浮かべる。

彼女は既にユーリと言う同じギルド、アドリビトムに所属する男と付き合っていた。
それからまた、いつも以上に綺麗に見えてしまうのは恋をした女の特徴と言うべきか。更に華が散って見えてしまったのは自分だけではないとジェイドは思う。

さらり、と紅く柔らかな髪を指先に通せば暫くその寝顔をジェイドは眺め、そして。




「……さて、どうしましょうかねぇ?」










にやりと、笑みを浮かべてもう一度同じ言葉を口にしたのである。




















飛んで火に居る




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