殿下と仲間達
□思い
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歳が離れてたって、僕は彼の事を親友だって思ってるよ。
彼だけだった。
僕の事を。
イオンとして見てくれたのは。
導士なんて肩書きで僕を決めつけなかったのは。
一緒にいて、楽しいと思えて笑えたのは。
渇望、恨み、嫉妬。そんな馬鹿げた視線を向けなかったのは。
彼、だけだった。
『思い』
「遊びにきたよ、ピオニー」
身体は刻々と病に蝕まれ、既にどこかに外出することなんてこの身体じゃ過酷を極める。だけど、そうでもしても彼に会わなきゃいけない理由が出来て僕はアリエッタとこっそりダアトを抜け出した。
アリエッタの魔物はこう言う時は凄く役に立つと思う。空を飛んでバーンと好きな所に行けるわけだしね。うん。
「……イオン?な、おま、どっから来るんだよ。」
ピオニーは今、グランコクマに軟禁状態。高い所にポツンと立てられた塔の中にいる。
それは、彼を守り、預言通りに死んで貰うため。
そう最初に彼に言ったのはいつだったかな。
こんな軟禁生活で、楽しくもないのに笑ってたこの男がとても腹立たしくて。
命の限りがある僕と、同じような境遇なのに。
だから、言ってやったんだよね。
あんた、飼い殺しにされるんだよって
人は死の預言を目の前に突き付けられたら絶対絶望するしかないから。
でも。
違ったんだよね。ピオニーは。