殿下と仲間達
□虹の架け橋
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「また、ここに戻ってきてしまったのですね………」
ディストはマルクト兵に後ろから急かされるままに前へと進みつつ、一度足を止めると王宮にかかる虹を見てそうごちた。
それは、昔の物語。
虹の架け橋
「サフィール!!!」
バッターン、と扉を煩いまでに開け放ち入ってきたのはこの国の時期皇帝、ピオニー・ウパラ・マルクト。
そう、王位継承者、殿下だ。
なのに彼はそうとは全く思えない軽装に、サンダルをペッタペッタと鳴らしながらあろうことか、軍のただの研究社に勝手に入りこみ、勝手にサフィールに会いにきていた。
「なっ………!!なんですか貴方は!何故ここに!?」
「いいから、お前に頼みがあんだよ!!」
こい、と腕を強く引かれれば彼は身体を前につんのめらせた。
もともとサフィールには力なんてものは殆どない。
ひっぱられるままにサフィールはピオニーと共に部屋を出ていった。
「…………い、いいい今のは!?」
「た、大変だ!!」
「殿下だ!殿下が来た!!」
暫くフリーズしていたサフィールと同じ部屋の研究員は、はたと殿下がいた事を思いだせば、王宮で今頃また脱走したのだろう事を即座に理解しすぐに王宮に電報を打ったのであった。