6万打記念小説

□一つ上の思い人との攻防戦
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※パズル設定です





初恋は14上のあの人だった。
その時は俺はまだ小さく恋に自覚するのも、してからその思いを伝える事も出来なかった。
だけど今は違う。


会ってすぐに恋を自覚する事が出来た。
そして今も自分の手の届く範囲に不本意ながらもいてくれる。
それならば、今度こそ自分の恋を実らせてもいいのではないのか?

誰にも文句は言わせねぇ。
さて、今日こそあの後ろ向きな男に前を向いて、ついでに俺も見て貰おうじゃねーか。


ユーリは笑みを浮かべると目の前で揺れる深紅の髪の男に向かって足を進めるのである。





















『一つ上の思い人との攻防戦』



























「ゼロス、頼んでいいか?」

「……何よ、回復?最近ユーリ君ったら怪我しすぎでねーの?」

最近ユーリは怪我をするたびにゼロスに回復を頼んでいた。もとよりエステルが皆の回復を担っていたのだが(それにカロルやレイヴンが介助する形だ)ゼロスもエステルには及ばないもののカロル達以上の回復の手立てがあり、それならば誰か一人か二人くらいを担当したらどうだろうか、とジュディスが提案したのだ。


それはゼロスに恋心を寄せているとジュディスが知っているからの提案であったのだ。
ユーリの怪我担当を半ば押し付けられるような形にゼロスがなったのは、元より切り込み隊長でもあるユーリが怪我が多いが、他の仲間達皆をエステルが持つようにすれば、エステルの負担が減るというリタの言葉もあってだが。


ユーリが個別にジュディスに礼を言えば、「頑張ってね」と笑顔で後押しされた。


その結果あり、ユーリは怪我をするたびにゼロスの元に足蹴に通った。
ゼロスの持つ回復技は周囲の皆を回復する技であり、他の皆もそんなに高い魔術力を使わなくていい事もあり重宝していたりもする。
ゼロスは嫌な顔を隠しもせずに、しかしぶつぶつと文句を言うのも一瞬で直ぐに瞳を閉じて詠唱を開始する。
ふわりとゼロスの回りにエアルでは無いものが集まり始める。



「風よ、癒しの糧となれ…ヒールウインド」

ふわりと、その風はユーリとゼロスを包んで傷を癒していく。
ゼロスは自分が怪我をしても無視してそのまま放置する癖がある。その為一緒に回復できるこの技はユーリにとっても安心できる回復魔法であった。

ゼロスが翠の瞳を見せた時にはユーリの怪我もゼロスの怪我も綺麗に回復していた。





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