聖なる炎と陛下と仲間達
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ひとまず、ジェイドから喰らった譜術から自然回復したディストが見た現状。
それから説明しよう。
「手伝え、時間が惜しい。」
まずディストに取って第一に不思議に思ったのは自分を呼び出したジェイドの事。
彼にしては珍しく怒りを顕にしている。
そして言葉遣いも素である。
次に部屋を見て思った事。いや、実は直ぐに目に入っていたのだが。
それは、
何かが突き刺さった後が残るその壁に背中を預けて、
白眼を向き
泡を噴きつつ気絶する。
……朱のレプリカと、ホドの生き残り。
何があったかなんて聞かなくても分かる。
彼に何度、笑顔でその行為をされたか。
神の如く後光を光らせ、
天女のような微笑みを浮かべ、
槍を握り締める悪魔に。
しかし、とディストは考える。
何故ジェイドがこの二人にこのような態度を取ったのか。と。
……直ぐに、それも思い浮かんだのだが。
「……今日は、アイツはいないんですか?」
「……………」
あぁ、決定的だ、とディストは思った。
彼が、少しだけ眉間を動かして何も言わない。
間違いない。
「………ピオニーに何か……あったんですね。」
「……あぁ。この馬鹿どものせいでな。」
ディストが確信を持って言えば、ジェイドはそう言って白眼で気絶する二人を睨んだ。
あぁ、また自分は理不尽にも巻き込まれるのか。とディストは頭を垂れたのである。