団長

□短編集
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「失礼します、アレクセイ騎士団長!」

ばん、と扉を押し開け勢い良く入って来たのは今日、小隊長に就任したばかりの金髪の青年、真面目で仕事に忠実な……ファイナス・シーフォの息子だった。


「君は……」

「はい、今日より小隊長に就任しましたフレン・シーフォと申します」

び、と背筋を伸ばし胸に手を宛て騎士の礼をする相手はアレクセイが書類から目を離し顔を上げて顔と名前を呼び起こしその名前を口にする前に自己紹介を口にした。




















小隊長のご挨拶
















「あぁ知っている。これからもこの国の為頑張ってくれたまえ。君のような若い騎士には特に期待している」

下町育ち、真面目で己を信頼する様子に『使える』と判断し小隊長に押し上げたのは、自分自身。それ故知らぬわけもなく、裏の事情は全て笑顔の裏に隠して中身の無いお馴染みの言葉を掛けてやった。
大概の騎士はこの一言で、目を輝かせて礼をし去っていくのだ。


……アレクセイ・ディノイアに絶対の盲信を抱いて。


「はい、勿論です。ただ……」

「ただ?」

だが、違った。予想通りの言葉には続きがあった。言葉に鸚鵡返しに帰せばちらりと辺りを目線で伺い部屋に私たち以外に誰もいない事を確認する様子に首をかしげたと同時。


「……もし、僕が貴方の期待に答えて隊長になったら、貴方に僕をもっと見て欲しいです」

そう、頬を染めながら言いのけた。
意味を理解出来ずに固まったのを良いことに更に近付き。









「……それ以上だと、ナニをさせるつもりなのだ……」

触れるだけの口づけを遠慮なく行い、にっこりと笑顔を至近距離で浮かべて耳元で囁いて言った言葉に、失礼しますと退室した男の笑顔に、これでは使えないではないか、と自分自身の計算ミスを呪うのであった。







フレ→→アレ
フレンは下剋上が大好きです!!
流石はユーリの友達兼夜の帝王だよね!←




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