団長

□伊達直人参上!!
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そこまでまた思案の海に落ちつつ、アレクセイは置いてあった銀のスプーンに手をかける。
その甘味の中でも、一番目を引くのはやはり昔から好きな緑と黒、白のバランスが綺麗な抹茶パフェ。
コレが好きな事、いや甘味自体好きな事は団長になった時点で見栄えの為にと内緒にしてきた。知りうるのは、その前後から己を知るもののみ。

今現在、それを知るのは元道具だった烏のみ。
しかし烏は大の甘味嫌いであり、こんなに大量の甘味を作るなど自殺行為(過去に彼の作る誰よりも美味しいと感じたケーキを口にしてしまい、いっぱいのケーキをどうしてもと無理矢理作らせて3日ほど寝込まれた過去は今では懐かしくふるぼかしい思い出だ。味は申し分なく、その後の仕事はものすごくはかどったが)なはずで……








「………」

考えれば考えるほど、謎ではあるがこのままでは勿体ない、と甘味が好きであるアレクセイには、久々の甘味に耐える理由も無いと己しかいない部屋で何の確認をすることも考える事も止め、スプーンでふわりと柔らかな抹茶風味豊かなクリームをすくったのである。













『伊達直人参上!』





「お、食った食った。あれは……おっさんの作った抹茶パフェか」

「大将、抹茶系大好きだからね。大方考えるの面倒になったんじゃない?……てか、ねー、青年、どうしてこんなことしようって思いついたわけ?」

「…アイツだって幸せになる権利くらいはあるんじゃね?少しだけでもよ。……有難うなおっさん、手伝ってくれて」

「ううん……此方こそ有難、青年。大将にそんな風に思ってくれて」


こっそりと部屋の外で、スイーツを置いていた犯人二人は、パフェを口に溢れる笑みを見て、また作ろうかと窓の下で笑顔で頷きあうのであった。










おしまーい。
プチ幸せアレクセイ。本当にプチですが。
うちのアレクセイは抹茶系甘味超が付くほど大好きな甘味系へたれメルヘン中年です。
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