光と闇
□短編集
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「あぁ、もうアレクセイ様、起きたのなら髪を整えてください!!寝癖がありますよ!」
「う、うむ……」
「それに服も寄れてるじゃないですか。これで人前に出るつもりだったのですか?」
「普段はメイドが……」
「そんなこと自分でできないでどうするんですか!!」
「…………」
「!どうしたんですか、クロームさん」
ふと、フレンはアレクセイ騎士団長の部屋の前で止まったまま、扉を見つめて動かないクロームを見つけて首を傾げながら問いかけた。
声を掛けられ気がついたのか、クロームは上品なしぐさでふわりとフレンの方を見る。
「いえ…ただ、少々聞いていると面白いものでして」
「面白い?」
はて、何が、とフレンは首を傾げながらクロームの横に近づいてみる。
「だぁから!!まだ寝癖取れてないですって!」
「時間がないのだよ!シュヴァーン頼む、してくれないか!?」
「そう言って毎回じゃないですか!!今回こそ…」
「シュヴァーン………」
「う……なんですか、その捨てられた子犬のような……!」
「お前しかいないのだ……!頼む…!!」
「……なんですか、この会話」
「ふふ、まるで駄目なお父さんとお母さんの会話のようだと思いませんか?」
固まったフレンの先では、「今回だけなんですからね、本当に今回で最後ですからね!」というシュヴァーンの声。
「毎日、本当に仲がいい事ですよね……ではそろそろ」
そう言って、こんこんとノックをするクロームにこれは毎回の事なのだと知ったフレンは、早く団長になろうと決意したのである。
甲斐甲斐しい姿を何と言うか
それを母と呼ぶ(笑
若しくは妻?アレクセイはへたれです。