光と闇
□短編集
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「シュヴァーン、これを付けてくれないか」
「断ります」
兎耳が似合うのは
開口一言、真面目な顔で言われた言葉に対し、シュヴァーンは死んだ目で即座に否定の言葉を口にした。ガン。といかにもショックを受けたと言う顔をするアレクセイに対し、シュヴァーンは何処までも冷ややかだったりする。
「何故だ!!」
「嫌だからです、何故そんな事を聞くんですか?」
「私が付けて欲しいからだ!!」
「ご自分で付ければいいじゃないですか」
「おま…!40超えた男に付けれと?!」
「私も既にアラサ―ですが」
お前、アラサ―なんて言葉、いったいどこで覚えて来たんだ!?と言う思いをアレクセイは抱くがそこは咳払いを一つし、机に手を組んで顎を置く。
「折角、君へと届けられたのだが?」
そう、この届けられたモノ、橙の兎耳はシュヴァーン宛て。だった。
それに対しシュヴァーンはその兎耳をもう一度一瞥した後に、ため息をついた。そのため息に了承したのか、と顔を明るくすれば、シュヴァーンは一つの袋を取り出した。
「では、アレクセイ様がこれを付けるのならば俺も付けます」
そう言って、その袋を開けた。
そこには。
白のふさふさの
「アレクセイ様に匿名で送り付けられて来た兎耳です」
一瞬、アレクセイは固まった。
誰だ、誰がいったいこんなものを私宛に送りつけると言うのか!!
その言葉は口には出なかったが、取りあえずシュヴァーンが自分の反応を見下ろしながら固まったアレクセイを見て待っている事が分かった。
きっと、彼はこう言いたいに違いない。
―――これで諦めるでしょう?いい加減諦めて仕事してください、……だ!
そう予想を立てればアレクセイはキッと視線を上げれば翠の瞳を見上げる。
「分かった!ならば私も付ければ貴様も付けるのだな!?二言は無いのだな!!?」
「ええ、ただしアレクセイ様から付けてくださいね」
何とか意を決して言えばさらりと返される言葉、ぐっと唇を噛めばアレクセイはその真っ白でふわふわの兎耳に手を伸ばし……
「すいません、アレクセイ様、書類をお持ちしま……」
ちょうど良く、か運悪くか、クロームが書類を持って訪室した。……アレクセイが自分の頭にその、兎耳を付けたタイミングで。
固まったアレクセイに対し、にこりと笑顔を見せたクロームはそのまま「失礼しました、どうぞお続け下さい」とだけ口にして去って行った。
「………シュヴァーン…!」
「俺のせいではないですよ?」
「なら貴様もつけろ!!!!」
その後、シュヴァーンの頭にも無理矢理半泣きで兎耳を乗せるアレクセイがいたとかいないとか。
(はぁ……アレクセイ様……やはり兎耳をシュヴァーン隊長に渡して正解だった…!)
(それを言うならシュヴァーン隊長の兎耳をアレクセイ閣下に渡して正解だった、もありだなー)
その後、二人の兎耳は広く親衛隊とシュヴァーン隊の脳裏と瞳に刻まれたのである。
おしまい!!
ギャグを書くのは大好きだ!!←