□秘めたるもの
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「……と、考えたものの……」

誰を巻き込むか、これは重要な所だ。
熱血馬鹿(ロイド筆頭)な奴らに話したら確実に広められる。

お前一人だけで悩ませるわけがないだろ!!

当たり前だと言うように拳を握って人の事をまるで自分の事のように考えるあのロイドの顔と言う言葉までゼロスの中で再生されてしまいゼロスは苦笑いを浮かべた。
だからこそ、ロイドは特別な存在ではあるが、今回は手を借りる訳にはいかないのだ。


と、言う事でロイドとロイドと似た思考を持つものは却下。更に言うなら、多少の裏にも対応できる……つまりはもしもの事があればそれなりに白を切ってくれる人間でないといけない。

「でもジェイドは嫌だ……」

一番に思い浮かぶのは、鬼畜腹黒眼鏡だ。
会った瞬間に何故かあまりいい気分はしないが何故か一緒に仕事をさせられる事も多く、その度にとても疲れる相手。
例えその力が大きなものでも、後で大きな貸しは作りたくも無い。
そうなれば彼は却下。

ユージーンは……無理だな、正義感が強すぎるし…天使様はいないしー……
ロイドと一緒に修行だなんて、顔には出さない様にしていたが、嬉しそうなのがゼロスには分かり、あの親馬鹿天使め……と行く前の後ろ姿に思いっきり愚痴ったのはつい先ほど。
リカルドもいいかと考えたが、お金で全てを考えるその気質は強さは申し分ないがあまりいい物ではないとゼロスは考えてはいなかった。
後はヴァン、なんてのもいるが相手の知名度が高すぎる。ライマ国の皇子の護衛で強さも申し分ないだけに、ネクロマンサーと同じくらいの知名度な上にあの髭と特徴のありすぎる眉毛では変装も何もない。ばれる確率は高い。
そうして大人組の方から思考を巡らしていれば。




「うぉ……っと」

「うひゃあ!」

ドン、と出会いがしらに人にぶつかる。ぶつかった衝撃に後ろに飛ばされそうになる相手につい手を差し伸べれば。

「あ、あんがとー、おっさんちょいと意識飛んでたみたいねー」

腕を掴んだ人間は、怪しさ全開のおっさん。
しかし、ゼロスが裏で聞いた情報では………




「あ、あれ、何で離してくんないのか、なー?ゼロスせーねん?」


「みっけー」

これほどと無い、ゼロスが考える全部の条件に一致する人間を見つけ、ゼロスは笑みを浮かべた。びくりと嫌な予感をよぎらせているのだろう相手には悪いが此処は己の為、いや「セレス」の為に掴んだ腕はそのままに付き合って、と今しがたいた部屋に早速何事か文句や抗議をするのを無視して拉致していくのである。








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