□秘めたるもの
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「あ、ゼロス様、やっと見つけました。今日もご苦労さまです。……お手紙が届いておりますよ?」

「ん?俺さまに?」

いつものごとく、ディセンダーに何故か気に入られたゼロスは一回分ディセンダーと共に依頼を終わらせ、次は修業に付き合ってくると分かれたその男に軽く手を振ってさて今日は誰を口説こうかと振り向いた。その先、ふわりと空を浮かぶこの船の全てを請け負うと言っても過言ではない仕事を小さい身体で請け負うロックスこ声に寄ってゼロスは足を止めた。

ふわふわと飛んで来たロックスのその手の中には一通の手紙。

己の身体より少しだけ小さいその手紙をロックスは両手で抱え「はい」と頷いてからゼロスの手の上に乗せた。


「ロックス君……えっと、誰から?」

「その……良く分からないのですが、他の手紙と混ざっていたので一応と……」

ひらりと受け取った手紙をひっくり返して裏を見ても差出人の名前は無い。
ロックスに問いかけても配達ギルドから渡されただけだと困った顔をする姿にゼロスはふうん、と首を傾げながら名無しの手紙を高く持ち上げて見えない中身を透かし、ロックスと視線を合わせて同時に首を傾げるのである。















秘めたるもの








「まぁ、いっか。あんがとー、ロックス君」

「いいえ、では私はこれで。」


ぺこりと頭を下げたロックスがそのまま食堂に向かうのを見届けてからゼロスは、手紙をもう一度見直すのである。
その思考に浮かぶのは……


「……変なのでなきゃいいんだけど」

はぁ、とため息を一つ付いてはゼロスは手紙を無造作にポケットに突っ込み、宛がわれた部屋に足を向けるのである。









その手紙が、ゼロスの予感通り、地獄への案内切符である事を知るのはその数分後。





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