光と闇

□武器は酒と涙と色気です
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「……ねーちゃんね、一定量以上の酒が入るとねいつもより更に強くなるのよね、あのアレクセイ相手にも色々やらかしたくらいだから……ただ、ちょっと脱ぎ癖とか泣き癖とかあるのが難点だけど」

「………もしかして、おっさん、これを狙ってたのか?」

「まぁ、ね」

昔からキャナリの事もそうであったが紳士的で女性には優しくをレイヴンとは別な意味で貫いていたイエガーだ。
酔っ払いの(見た目)無防備で涙を浮かべた親友相手になど手を出せるはずがない。
いや、手を出せたとしても確実にイエガーより実の姉の方が強いはずだ。
ユーリの傍でこっそりと事情を説明したレイヴンはじっとりとしたユーリの視線に苦笑いを浮かべながら更に距離を詰めようとする姐に戸惑いながら後ろに下がるイエガーに視線を向けた。


「……どうしても、私達の邪魔をするのか?」

「したくはないですが、これがデスティニーなんですヨ」

「私は運命を変えた……いや、変えられた」

「それは貴方だから…」

「お前も、変われ!私はお前がいないと辛い!!」

「……!?」


「因みにアレ、天然発言であって特に恋愛感情無いのよね。素面じゃないとあーゆー事を普通に吐くいちゃうしあの格好だから皆落ちるのよねー」

シュヴァーンの発言に固まったのは、イエガーだけではない。
上半身が晒のみで、すっきりして贅肉のない褐色の肌。所々の傷がこの最近だけで増えたのだと主張するように血をにじませているが、それが艶のある雰囲気を醸し出している。
かつ、酒の力で涙目で頬も赤い。

これで落ちない男がいるなら教えて欲しい。
ちらりと横を見れば元より尊敬とそれ以上の感情を隠せないでいたフレンちゃんも、ユーリ君も、カロル君さえも固まっている。

「あんな言葉、簡単に口に出来るなんて、シュヴァーンは凄いわね……」

「や、酒の力よ?」

ジュディスが関心したようにいるのに普段は違うと慌てて断りを入れていれば、シュヴァーンが「……やはり、駄目なのだろうか?」と、頭たれ寂しげに言う姿に、今までもずっと助けて来た相手にこの場で殺されようと、海凶の爪の為だと身を滅ぼす事に決めたイエガーの必死の決意がガラガラと音を立てて崩れるのをレイヴンは聞いた。

「……俺が、お前を置いていけるか!!早く服を着ろ服を!!」

「いえがー……」

イエガー語を捨て槍も手放し、更に着ていた燕尾服の上を脱いでかけたイエガーに嬉しそうにしつつ、次には「熱い」と脱ぎだそうとする様子に。

「……でも、やっぱり入れ過ぎたかしらね……」

確かにこうなる事必死で、でも後で素面に戻って落ち込もうと、イエガーが死んでいるよりマシだと勝手にした事だが。
イエガーが着せた燕尾服を放り投げて更に先に進みだす様子にレイヴンはぽつりと呟くのである。







その先、酒にふらつきながらも、更に言うなら防具も無い状態で進む彼女だが簡単に魔物や騎士団の兵士をを防ぎなぎ倒していく姿に敵対していた騎士まで寝がえり始め、アレクセイに対してもそのままの姿で突っ込んでいくことになるとはこの時、誰も知らないのである。

そして、その後自己嫌悪にシュヴァーンが暫く帝都の自室に閉じこもってしまう事も。誰も知らないのである。















「シュヴァーンの


武器は酒と涙と色気です。

「違うぅうううう!!!」






おしまーい。

ふと思い浮かんだ話。
シュヴァーンが晒巻いた女性で……ってイラストをがりがり書いてたら話が浮かんで、書いてたらなんか長くなった……?!
シュヴァーンが酒癖の悪い子になりましたがそんな彼女もありだと思います!!
きっと、アレクセイは気配を感じて振り向いた先に、酔っ払って千鳥足なのに涙を浮かべながら半裸で剣を片手に突進してくるシュヴァーンを見たらフリーズすると思います(笑
ついでにイエガーも青年達もフリーズすると思います(笑
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