聖なる炎と陛下と仲間達
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「ピオニー!」
「!?」
その窓から受身を取りつつ落ちてきたのは今まで彼らが探していたピオニーその人で、ふわりと窓から落ちてきた。
慌ててディストが椅子に座ったままでキャッチしていなければ彼は今頃地面に叩き付けられていたかもしれないと思えばディストは知らずため息をもらしてからその捕らえた身体を抱きしめた。
そんな彼にピオニーは顔を向けると嬉しそうに笑った。
・・・そして。
「サフィールじゃねーか!サンキュー!助かったぜ!!」
「ヒギャ!?」
ブーツを椅子の端にかければ足に力をかけて彼は一気に飛んだ。
とたんにガクンと椅子は前に傾き、ディストは慌てて肘掛を掴んで前に落ちることなく踏みとどまった。
その、ディストの前でガキィンと刃物がぶつかる音がした。
そしてその双方が地に足をつける。
「・・・ほう、新たな仲間か?」
「あぁ、俺の一番頼りになる、な。」
互いに剣を構えながら言葉を交わす。
「へい・・「ジェイド!!」」
そんなピオニーに槍を手に握りつつジェイドが近づけば、彼に何事か言われる前に言葉を重ね、赤い瞳をじっと見る。
「・・・リラエル大佐、このように敵に捕まりましたが無事であります。おいおい罰については受けさせて頂きますゆえ、今は助力頂きたく存じます。」
そして、そのままひとつ敬礼をしてディストにも聞こえるようにそういった。
その意味に気が付かない二人ではなく。
「・・わかりました。」
「・・・後で覚えておきなさい。」
二人は一つうなずくとピオニーを見た。すると彼はまた笑顔になる。
「・・正直助かった。俺一人じゃ何時か捕まっていただろうと思っていたんだ。」
前を向いてそう言う彼の軍服には切り傷がいくつもありジェイドは目を細めた。
「全く、無茶をしないでくださいよ。」
「ハハハ。すまんすまん」
人がどれほど心配したと思って・・・とジェイドは思うのに、本人を前に何もいえないと言うのはどういうことかとジェイドは思う。
まぁ、状況が状況だから仕方ないといえばそうなのだが・・・。
ジェイドは一人含み笑いをすれば上にいるディストを見上げた。
「ディスト!!あなたも戦いなさいよ!!」
「わ、わかってま・・ギャーー!?」
ジェイドがディストに命令するより早くディストも己の戦う準備をしようとしたのだが、そんなディストに目掛けてグリフォンが襲っていた。叫び声を上げながらすんでディスとはそれをかわした。
どうやら、グリフォンはディストを第一標的にしたらしい。
ちらりとそれを見て確認したジェイドはにっこりと笑ってディストに言った。
「やはりこちらは良いです。あなたはまずそのグリフォンを片しなさい。」
と。