殿下と仲間達

□思い
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ピオニーver.その後





イオンが、死んだ。


それを、ピオニーこと俺が知ったのはアリエッタの熱烈訪問を受けた後だった。




























「ピオニーっっ!!!」

「うごふっぅ!!?」

今日も今日とて、空を見上げながら呆然と歴史書を開いていた俺は(断じて見たくて見ているわけではなく、此処に時折くる糞親父ども(家庭教師とも言う)が置いていったため仕方なしに読んでいたわけであるが)キランと光った雲の向こうに気が付く事なく空を見ていたため、涙目でグリフォンに捕まりながら突進してきたアリエッタを避ける事が出来ず、腹に頭から突撃されて悶えるハメとなった。
そして、グリフォンはそのまま定位置である塔の上に止まったようで、アリエッタは再起不能となった俺をゆっさゆっさと揺さぶった。


「ピオニーっイオン様がっイオン様がぁぁっ!!」

「ちょ、アリエッタっ。死ぬ、死ぬから俺っ。何が何だか分からんがこのままじゃ……!!」


勢い良く揺さぶられて一撃目に加えて胃の中の物をぶちまけたい気分に陥り、俺は慌てて泣きわめくアリエッタをなだめたのだ。









ユラユラとアリエッタ専用となったマグカップにココアを入れて差し出してやれば、ズズッと音を出してアリエッタはそれを飲んだ。
俺はその様子を見てから椅子に座ってアリエッタを見た。


尋常じゃねぇな。と直ぐにわかったさ。


「で?イオンがどうした?」


「………………」


「アリエッタ?」


「解雇、させられ……ました。」



その言葉に俺は一瞬息を飲んだ。


「イオン様。最近状態良くなくて、ずっと………寝たきり、だったんです。でも…………良くなって。それで……いきなり解雇って………言われて」




震えているアリエッタの手に合わせてマグカップのココアも揺れていた。


「………そうか。」


「イオン様、私の事『僕だけのフォンマスター・ガーディアンですよ』って言っていた………なのに……」



「……………そうか。」



あぁ、彼は死んだんだと。直ぐに分かった。

そして、本当にアリエッタを自分だけのフォンマスター・ガーディアンにしたんだ。




「なんで……イオン様……」



きっと、彼女は何も知らないから抗議したに違いない。








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