聖なる炎と陛下と仲間達
□番外
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失ったのに、またこんな日常が、しかも簡単に手に入るなんて思ってもいなかった。
……本当に馬鹿な話だとディストは思う。
「……けどよ、どう思う?サフィール?」
「は?何がですか?」
「はいかいいえで言え」
「……はい。」
「よし!!ジェイド!!此れで決まったぞ!」
「は?」
「はぁ………どうしていいえと答えないんですか?貴方は」
突然喜び出したピオニーにディストは眉間にしわを寄せた。
そして、ジェイドはありえない、と言う表情をディストに向けていた。
「な、なんなんですか!?」
「だから、えー……あ、あったコレコレ。」
詰まれた書類をバッサバッサとめくり何かを探していたピオニーは中から一枚の紙を取り出し、ディストに向かって紙を離した。
ヒラリヒラリと舞ってそれはディストの元に。
「な、なんですか此れはーーー?!」
そこには、『三ヶ国共同新エネルギー開発事業』の文字。
「いやー、ジェイドにサフィールまでやってくれるならグランコクマの事業部は安心だなっ」
「なっ……!嫌ですよ!!」
「お前さっき、ハイって返事したじゃねぇか」
ニコニコと上機嫌で笑うピオニーに、ディストは悟った。謀られたのだと。
何処からかは知らないが。
この事業案は前からディストは断っていた。犯罪人である自分にもうすることはない、と思っていたのもあったのが、
それ以上に上層からディストを信じられない、と言われ、ピオニー皇帝はどうかしている、など言われていると言う噂が届いていたから。
自分の為にピオニーまで悪く言われる筋合いは無いと思っていたから。
「まぁ、今回の事件でサフィール、貴方の株は一気に上がりましたから、貴方のせいでピオニーが悪く言われる事は無いでしょう。仕方ありませんから一緒にやってあげますよ。ただし……分かってますね?」