聖なる炎と陛下と仲間達
□番外
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「ここは、私の研究室ですよね?」
もとのこの部屋の持ち主の居住スペースはいつの間にか端に追い遣られ、下手をすれば存在すら無視をされているような気がしなくもなく、ディストはそういった。
「そうですよ。ただ、陛下は今お仕置き中なんですよ。」
「だからって此れはやりすぎだろう?!」
「陛下が此処に逃げ込むからいけないんですよ。お陰で私までこんな部屋で仕事をしなくてはいけないハメになってしまったではないですか。大人しく部屋にいればこんな鼻垂れと同じ部屋にいる必要などないのに……」
「な、なんですか勝手に人の部屋に入って場所を占領しておきながらそのいいぐさは!!第一鼻なんて垂れてません!!」
まったく有り得ませんよ!!とディストが叫ぶ中、ピオニーはグスグスと泣き真似をしながら山のように詰まれた書類をまた書き始めた。
………昔、まだネビリム先生の私塾に通っていた時、そのテスト前は三人で集まった事が何度もあった。その時、一番多く本を積み上げ勉強していたのはディストことサフィールであった。
ジェイドに近付こうと必死だった。
ジェイドは隣で静かに本を読んでいて、ピオニーは二人にチャチャを入れながら本を見ていた。
昔のようになりたいと、ディストは思っていた。
そうなる為に、マルクトを捨ててダアトに亡命した。
ネビリム先生を蘇らせたくて、色々な手を使って。
でも、失敗して。
全てを失って。
…………だけど。
「サフィール………手伝えよーー。」
「寝言は寝てからいいなさい。この馬鹿に国家機密を見せる気ですか?」
「だってよー……」
「だっても、ヘッタクレもありません。手を動かしなさい。」
「うーーー………」
全く取り合わないジェイドにピオニーはうなだれると、またチビチビと文を書いていく。
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