聖なる炎と陛下と仲間達
□彼の日
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「と、言う事が、過去にありましたねぇ。」
「そういや、そうかもしれないなぁ。」
時はアレから数十年。昔の事を思い出し適当にかいつまみながら話していたジェイドにピオニーは相槌をうちながら目の前のモノを眺めていた。
今日はピオニーの誕生日だ。
合わせて、元から激しく汚いピオニーの私室は更に各地、彼のファンから贈られてきた大量のプレゼントや花束で埋もれていて、ピオニーはそれを一つ一つ箱を開けては紙屑をゴミ箱へ。
包装紙は綺麗に畳んで端に、更に中に入っている宝石、時計、服、剣などの贈り物を一通り眺めては仕分けして置く、という作業を永遠おこなうせいで更にカオスと化していた。
ピオニーは誕生日の際に毎回この仕分けを自分で行なっていた。
しかし、これが3日4日の仕事を全て停滞させてしまうほど膨大であり、大臣その他に多大なる迷惑をかけているのだが、彼の誕生日の品で有ること、更に誕生日である事を考えると誰も文句が言えず、泣く泣くそれが終わるのを待つしかないのであった。
そして、ピオニー自身これだけは絶対に何があっても自分でやりたいと言い出し聞かなかった。
曰く、「せっかく俺にくれたものなのに、俺が見ないでどうする。」
だ、そうだが、実は昔はこの中に過去離れ離れにされた母親からの贈り物が混ざっていた事などがあり、丁寧に自分で全て開封していたからその癖が抜けきれていないのでは、とジェイドは思う。
事実、プレゼントを開ける際の彼はとても楽しそうだから。
しかし、そのピオニーの行為を逆手にとり、彼の暗殺を目論む馬鹿な輩がプレゼントの中に毒入りの食べ物や爆弾を入れて下さりやがった事もあったというのに。
保身のために、付けられた自分の立場や仕事も考えて欲しい、とジェイドは鼻歌を歌いながら始終楽しげなピオニーを見てため息を付いた。