殿下と仲間達

□キセキ
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魔物なんてお手のもの。

夜の道だろうと、もう何度も戦い歩いた道はルークにとって何の苦痛も無く、
鼻歌交じりにタタル渓谷を下っていた。

そこらに自分を狙ってくる魔物がいれば、逆にしめたとばかりにしばき倒し、お金を奪う。
ついでに奪えるものは無いかと、最大まで盗みを極めたグラスチャンバー付きの烈破掌を食らわす始末。

ある意味ルークの天下だった。



その。・・・・・光景を見るまでは。










「・・・・・・・うん?」


何かが、頭上を通り抜けた。

鳥のような、何か。

タタル渓谷をもうすぐで抜けるというところで大きなその影は月明かりを隠して暗闇を更に暗くし、ルークは自然とソレを見上げたのだ。





「・・・・人!!?」

それは、明らかに人だった。
大きな鳥の魔物に捕まりタタル渓谷に連れ去られて行くその人影。

「なんで・・・?!あぁもう、折角下まで降りたのに!!どうせならもう少し早く来いよな!!」

元来お人よしなルークは見てしまったその事態を見過ごすことなど出来ず、
そんな理不尽極まりないことを口走りながら、今しがた来た道(魔物は先ほどガッツリ皆殺したため一匹もいない)を全力で駆け上がる羽目になるのであった。





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