聖なる炎と陛下と仲間達

□愛にして
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だから。






「陛下・・・」

彼は、玉座にいた。

彼の両手には、深く刺さった短剣。

胸に何度も突き立てられたであろう槍と剣の跡。

いつも、サンダルから覗く彼の足の指は青く変色した跡もあって。

ジェイドはそっと彼に近づいた。
彼は、どんな気持ちで死んでいったのだろう。

まだほんのりあったかい彼の身体を抱きしめてジェイドは思った。


誰より優しいあなたはこの国の民を第一に非難させた。

エンゲーブとセントビナーはケセドニアに受け渡し、
シェリダンはベルケンドと同盟を結ばせて安全を約束させ
ケテルブルクは独立させた。

そしてこのグランコクマの民も。攻め込まれる前にはそのほとんどがいなくなっていた。


そう、誰よりも優しいあなたは兵士にこの宮殿から非難させようとした。

でも、そんなあなただから、国民もあなたを愛していたから。

「あなた達の力、今一度借りますよ。・・・陛下のために。」



陛下を守りきれずに事絶えたのであろう兵士の顔からは明らかな涙の痕。
どんなに屈辱であろうか。

目の前で愛する国王が殺されるのは。


ジェイドはそっと手を振り上げた。








天光満る所に我はあり

黄泉の門開く所に汝あり。



「・・・・・・これで、本当に終わりですよ」



自分の存在に気が付いた敵の兵士達が次から次へと入ってくる。

死ねばいい。
陛下を殺したこいつらは。

陛下を守れなかった自分なんか。



「インディグネイション!!!!!」




その叫び声と共にマルクトは多くの死んだ人間のフォニムを引き込み暴走した雷の嵐に巻き込まれ、そのまま姿を消した。






ND2020
要塞のうず高く死体の山が積まれ死臭と厄病に包まれる。ここで発生する病は新たな毒を生み、人々はことごとく死に至るであろう。
これこそがマルクトの最後なり。
以後数十年にわたり、栄光に包まれるキムラスカであるが、マルクとの病は勢いを増し、やがて一人の男によって国内にもちこまれるであろう。




ーーーそう、

一人の男によって。









全てを失って気が付くなんて、もう最悪としかいいようがないという現実。
一人の男はご想像にお任せします。笑
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