聖なる炎と陛下と仲間達
□愛にして
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「くっ・・・!」
ドン・・・。
大きな音にジェイドは失っていた意識を浮上させた。
ゆっくりと眼を開ければ、痛みにもう一度瞳を閉じることとなった。
白と蒼の美しかった町並みは、瓦礫と血に染まった。
自分の周りには既に息絶えた兵士がごろごろと転がっている。
ピチャリ、と自分の手に付いた兵士の血にジェイドは顔を上げた。
ーーーーーーまだだ。
既に左足の感覚は無かった。
意識の失う前に、そういえば敵の刃にアキレス腱を切られていたかもしれない、とジェイドは思う。
それに
右手ももう自分の肩に繋がってはいなかった。
それでも、
未だ煙を立ち上げる宮殿に向かってジェイドは歩き出した。
ずるずると足を引きづりながら、ジェイドは考える。
どうして、自分はこんなになりながらも、未だ宮殿に向かおうとしているのか。と。
もう、マルクとの敗北は火を見るより明らかで、自分が向かおうと何一つ状態は変わらないだろう。
それなのに、と。
「馬鹿なことです。愛も恋も、人の生きも死もどうでもよかったはずなのに・・・」
金の髪が、蒼の瞳が、
頭から離れない。
折角生き残れたのだ。このまま逃げてしまってもなんの問題もないはずだ。
それなのに。
身体が勝手に宮殿に向かっていく。もうろくに戦える身体ではないというのに。
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