聖なる炎と陛下と仲間達
□初恋
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「えぇ、それも陛下より前に」
「はぁ?!なんだそれは!・・・てことはまさかやっぱり・・・!」
「言って置きますが、先生ではありませんよ」
先生、その言葉が何を示しているのはこの場ではルークとジェイドとピオニーだけではあるが。
ギシリと柔らかなソファに寄りかかりながらピオニーは考える。
「俺ってことは俺がネフリーに会う前だろ?」
「そうですねぇ」
その言葉にジェイドは相槌を打つ。
ちなみにピオニーの初恋はジェイドの妹だと暴露したのはジェイドであるため、そのことをピオニーがいっても特に気にするものはいない。
むしろ、ジェイドを抜くルーク一行が一番反応を示したのは・・・・
「な。なぁジェイド、お前本当に陛下より早くに初恋なんか経験していたのか?」
と、いうルークの質問に尽きる。
その言葉にジェイドはにっこりと笑みを浮かべたままにルークに向き直った。
「えぇ、本当ですよ。まぁ、自分にはそんな気持ちは持ち合わせていなくていいと考えていたこともあり最初は否定していたのですがね、逢って話をして、そばにいるのが当たり前になってしまって、しかし何時の日かふと離れてしまった時、自分にとってどれほど大きな存在だったかを思い知った時、初めて自分の中で気持ちがあふれてきて、心が痛くなるという現象を知り、恋を自覚したんですがね」
つらつらといつもの表情のままに言われるそれは、しかし、誰もが経験を持つようなものでありそのような言葉が大佐の口から出るなんて、といった様子でジェイド以外は唖然とした。
「大佐にそんな人間らしい部分があったなんて・・・」
「アニス、聞いておいて随分な言い草じゃないですかぁ?」
「えへ、だぁってー」
「で?お相手とはどんな方だったのです?大佐ほどの方がそんな恋をなさるなんてとても美しい方だったのでしょう?」
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