殿下と仲間達

□宝物は
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「あっれー…?」

ピオニーはぼりぼりと頭を搔いた。
ピオニーの部屋は今、段ボール箱やらなにやらととても荒れていた。

それはピオニーが引越しの際に持ってきた私物である。
服などはメイドに全部やってもらったピオニーであったが、二つの大きな段ボール箱だけは自分でやりたいと駄々をこね、折れたメイドに飛び跳ねて喜んだのはつい2日前のことである。

しかし、片付けようとした最初の日は疲れが酷くそのまま入眠、2日目はケテルブルクの少年が自分に会いに来たということもあり、段ボール箱は放置される羽目になったのだ。


さてそして今日、段ボール箱を開封したわけなのだが。


「どこいったかなぁ…」

片付けは苦手だと自分で思うことは多々ある。そんな自分が大事なものを自分で段ボール箱にしまった、というのも問題なのだ。ごちゃごちゃに詰め込まれた自称宝の箱はまるでゴミ入れのような風袋で部屋の真ん中を陣取っていた。
ピオニーはその中から大切なものの一つを探していたのであるが。


「確か、こっちの箱に入れたと思ったのに…」

あっちの箱にも無かったしな、と一人ぼやく。

そして一番上を陣取っていた小さなものを取ったわけだが。

「……」

じっとそれを見詰めて思う。
これは確か、自分が始めて人から貰ったもの、水晶だ。
何でも譜術の力を増幅するらしい。
らしいというのは自分が使ったことがないから人づてに聞いたことのみのモノである。

一瞬、それを見ていると昨日あった亜麻色の髪の少年を思い出した。
彼は確か、譜術が得意だといっていた。

「………まぁ、まがいもんかもしん無いけど」

自分が持っているよりはましかも知れないし、とピオニーはそれをポケットにしまうとまた自分の探す目的のものを探し始めた。





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