殿下と仲間達
□宝物は
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「で、何をしていたのさ」
その後、下にまで物を飛ばしていたことなど知らなかったピオニーが、ジェイドの呼びかけに下を覗き、持ってこいと命令を下したのは自然の流れだったのか、やはり来なければ良かったと大きな後悔をしながらも数個のわけの分からないガラクタを部屋に投げ入れると同時にジェイドが問いただした。
「何って引越しの片付けだが?」
「片付くどころか散らかってるように見えるよ、昨日より」
「あっはっは」
片付けとのたまったピオニーの部屋は確かに昨日来た時よりも荒れていた。先ほど持ってきたようなわけのわからないもので溢れていた。
いや、中には自分では到底見ることも適わないのではとも思われるものも中にはあったりするのだが。それは宝石の類であったり、いわゆる贅沢品といわれるもので自分には全く興味が無かったのであえてジェイドの中では無視していた。
「で?今日はどうしたんだ?」
「…別に」
「?」
こてんと首を傾げるピオニーにジェイドはフイと顔を反らすと備え付けてあるソファに勝手に座る。
そこにそしてそこに置いてある辞書のような本にふと眼をやった。
「これは?」
「あぁ、それはあれだ。勉強しろってこっちに飛ばされた俺に当てて嫌味のように送られてきた本。元帥からのな」
勝手に手にとって見ればそれは明らかにピオニーの年で読める本ではないはずであるが。
「これ…」
「あ?見たいのか?」
「お前、理解できるのか?」
「そりゃ…読めない本渡されても困るしなぁ」
読めるということか、とジェイドは思った。
それはグランコクマの歴史書と譜術の構成についてであった。
譜術の構成は自分にとっては基本でありもう見る必要はないものではあるが、…それでも。
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