聖なる炎と陛下と仲間達
□初恋2
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俺は、そんなわけで初めて外の世界に飛び出たんだ。
でもやっとこでた外は、当たり前だけど自分にとっては大きくて。
当時のことを思い出しながらルークは空を見上げた。
「暗い道の中に小さな光がぼんやりと浮かんでいるのがすっごく綺麗でさ。街から見る空が譜石の光で遮られて、でも譜石の光がすっげえ綺麗でさ。俺、今までいろんなことを思っていたのを忘れて上ばかり見て歩いてたんだよな。そしたら…」
そこまで話してルークはアニスに苦笑いを浮かべた。
アニスはその先の展開をなんとなく理解してしまう。
「…もしかして、浚われかけた、とか?」
「………う、うん」
アニスのその一言にやっぱりわかるか、とルークは頭を搔いた。
「見上げていたら、突然身体が浮いて、知らないやつらにもって行かれようとしたんだよな。で、俺は必死に抵抗したけどまだ餓鬼だったし、小脇に担がれてどうにもならなくなって。そしたらすっげぇ怖くなってきてさ」
うんうん、とアニスは頷く。確かに、この坊ちゃんは子供の頃から可愛かったであろうし、しかも間違っても服など着替えてから出るなんて芸当は出来ないだろうから、豪華爛漫な服でしかも夜中の街を歩いたんであろう。そんな事をすれば、自分であっても浚いたくはなる。
…もちろん、売り飛ばす為に。
あぁ、何アニスちゃんったら浚い魔と同じ思考回路になってんの、とアニスは自分を叱咤した。
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