響き合う物語
□俺のもの
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「はぁ…」
何度目のため息だろうとゼロスは思う。
部屋に戻れば、取り合えず風呂に入ろうと着替え片手に風呂に直行した。
体を洗い暖かい湯船につかれば、今まで考えていた何もかもも少しは忘れられ、その気持ちよさに身を任せていた。
しかし、それでも思い出してしまうのは先ほどのロイドのこと。
そこまで嫌われてしまったのかと。
もう、どうしようもないのかと思うと、逃げるなといわれたのにまた逃げ出してしまいたくなる。
「俺さま、本当にどうしよう……」
これだから、人の温かさを知るのは嫌いだったのだ。
自分が弱くなるだけだから。
途方も無く、もがいてももがいてもどうにもならずにただ落ちるだけ。
「……母上…」
小さく呟いて、ゼロスは温まった体を湯船からあげた。
そして、体を拭いて、とりあえずアンダーシャツとズボンだけをはく。
髪の毛はタオルでまとめて上で抑えた。
そのままにしておくとすぐにシャツが濡れてしまうから。
そして、ゼロスは脱衣所を出た。
…と、部屋が暗いことに気が付く。確かに風呂に入る前はで電気をつけていったのだが。
「……あら?」
リーガルが戻ってきたのであろうか。とベッドを見ても、そこはまだ人が入った痕跡は無く、綺麗なままで。
じゃあ、なんでとゼロスが思う前に、ゼロスは勢い良く振り返った。
今まで、感じなかった視線を後ろから感じて。
と、そこには。
「……ロイド?」
ロイドが壁に寄りかかりながら此方を見ていて。
その様子にぽかんとしながら、ゼロスは名を呼んだ。
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