聖なる炎と陛下と仲間達

□大人の恋は無糖
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「おーよしよしよし、今日も可愛いなぁ、んん?」

わっしわっしと散歩から帰ったぶうさぎを幸せそうに撫でるのはこの国の皇帝。ピオニー・ウパラ・マルクトその人で。
机には今までやっていたのであろう書類と印籠、ペンが置いてある。
それを見て今日はまじめにやっていたのだなとガイは思う。


ぶうさぎを撫でるこの方がルークに勝る脱走癖を持つ方であると知ったのはこの国についてから。
ルークは顔に良く出るし、脱走するにしたって行き先がないからすぐに見つかった。

しかしこの方は違う。
天真爛漫・神出鬼没。
つい今しがたまでおとなしく部屋にいたかと思えば、ふと目を放した隙に部屋から消え、宮殿のどこかで寝ていたり、街下にまで出て行ってしまうのだ。

しかし、そんな行動であっても。
陛下として国を治める際は確かに皇帝の顔で。

誰よりも国を憂い、愛するお方で。
そんな二面性にガイの心は大きく揺さぶられ、傾いてしまった。

「お、どうしたー?ゲルダ、寂しいのか?」

ふとすりよってきたゲルダと名付けられたぶうさぎと戯れる陛下を上から眺めながらガイは思う。








今、この方に抱きついたら、どうなるのだろうかと。
今、彼の体を押さえつけてキスをしたら、と。















今、彼をベッドに連れ込み自分の欲望のままに彼を抱けたら、と。




「どうした?ガイラルディア?」

ふと、じっと見詰めていると彼が此方を見上げた。
ふと自分の気持ちがばれてしまったのかと眼を丸くするもガイはすぐに笑みを向ける。

「いえ、どうもしてないですよ。それより陛下、仕事は…」

「今までしていたんだ、今はこいつらと戯れる時間なんだ!」

聞こうとする前にすぐに言葉を重ねられてしまい、ガイは苦笑いを浮かべた。
この方は一度言うと聞かないのだ。
その性格はあのジェイドであってもそうそう変えられないというのだから自分にはどうしようもない。



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