響き合う物語
□振り回されても愛でカバーする?
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「どうして俺さまがこんな事になってんのよー」
ゼロスはそして一人ぶうたれていた。
折角の休みでゆっくりと疲れていた体を休めるはずが、この天然垂らしとその親のせいで休む事も出来ず、こんな目にあっているのだ。
機嫌悪くゼロスは、リフィルから貰った綺麗な字が羅列されているメモを目にする。
そこには明らかに3人でもかなりの量があると考えられるびっしりと書かれたそれ。
食べもの全てとペッパー類全て。
ついでにノートなどの雑貨もいろいろ。
「まぁいいじゃん。こんなふうに俺たちだけになることなんてめったに無いんだし。……まあ、父さんもいるけど」
「これでロイドが居なければデート、と言うことなのだがな。惜しいことをした」
「な!それは俺の台詞だっての!今日はゼロスと一緒に過ごす予定だったのに!!」
更に、自分の前で繰り広げられる親子喧嘩。
ゼロスは今まで女の子に神子様神子様と『神子』である自分を見られて人が集まっていたことはあった。それをあしらうことは簡単だったし、ゼロスにとってはそれであればどんなに楽だったかと空を見上げる。
彼らは違うのだ。『神子』である自分を見ているのではない。
なんの見返りも無く(いや、ゼロス自身を求めてはいるが)『ゼロス』を見て好きになってくれたのだ。
だからこそ、そんな彼らを今までのようにあしらうことも出来ず、しかも自分より強い存在である彼らから力付くで来られたらどうしようもなくなってしまうのも事実で。
「もー!!いつまでやってんだっての!!早く行くぞ!そこの馬鹿親子!!」
いつまでも繰り広げてくれる親子喧嘩を足蹴で終わらせてゼロスはまず、ねこにんの里のショップに向かった。
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