殿下と仲間達

□虹の架け橋
3ページ/4ページ









「…………虹?」


何故、虹?
宮殿に、虹?

サフィールは戸惑い、ピオニーを見上げた。そこには、昔から良くみた、悪戯っこのような顔。



…………あぁ。



「だから、サフィール!!お前の力を貸せ!」


彼は宮殿にホログラムの虹を架けたいのだと、そして其れを他の誰でもない、自分に作って欲しいのだと言う為だけに態々抜け出して来たのだ。


「私にメリットが無いですよ。」

「あるさ、虹が架ればお前の名前は一生残るぜ?俺は其れを外す気は無いしな。俺が死ぬまでは。」

「…………」

「名前が売れればやれる事も増えるぜ?」



ニヤリと笑ってくる相手に、叶わないなと思った時点で己の敗けだどサフィールは思う。




「………わかりましたよ。作ればいいんでしょう?」

「お、いいのかっ!」

「ただし!!私の名を絶対広めなさいよ!!」

「サフィールぅ!!!」

「ギャア!!!」



言った瞬間飛びつかれ、その叫び声に気が付いた兵士に殿下は連れて行かれた。









そして、サフィールはホログラムを完成させた。








………が。

ジェイドがフォミクリーの実験を止めて軍に入り。

私は、マルクトを亡命してダアトに入り、ディストと名を改めた。









それからは、マルクトには行かなかったのに。






「何故、架けたんですか……」




柔らかな日差しに。


水が滝のように流れる空間の真ん中に。


宮殿の真上に。





「………平和の、証ですか………」



キムラスカと手を取り合う事に成功した彼は、やっぱり宮殿に其れをかけていた。


聞いていた。

彼が王位を継いだ時にその虹はかかり、彼の指示を集める手助けをしたと。

彼は間違い無く言った。
それはサフィール・ワイヨン・ネイス博士が作りこの国に残した唯一無ニの作品だと。




もう、ここには戻らないと決めていたのに。



「………馬鹿ですよ」

広まった昔の己の名は『音機関の権威』『フォミクリーの立役者』などの称号をいくつも貰い有名になっていった。

……本人が居なくても。


それは、ピオニーが約束だと言ってした事に違い無くて。


「行くぞ!!!」

マルクト兵に引っ張られながらディストは宮殿にと足を進めた。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ