6万打記念小説
□雪の日の
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「わぁ……すっごい雪になっちゃったねー!!」
「ほんとっにね……」
視界一面のホワイトアウト現象。
これを恐れて一泊したと言うのに関わらず、外に出て魔物の殲滅を行いながら進む先で猛吹雪に見舞われてしまったのだ。
つまり、一メートル先の視界も気を抜かなくても風の勢いで一面真っ白。
コレットの声にゼロスは顔面に当たる雪を腕で遮りながら答えた。
「ロイド!!このまま先に行くのは危険すぎるわ!!今日は引き返すか近くで避難しましょう!!」
見えない視界の先にリフィルの声が響く。
数メートル先のリフィルの姿さえ碌に見えたもんでは無い。
その状態に暫くすれば止むと思って先に進んでいた一行も今日の強行軍は無理と判断されたらしい。
「それは早く決めて欲しかったぜ……」
見えない視界にゼロスは顔を顰めた。
普段、皆には絶対に見せないお茶らけた仮面を剥いだ、顔。
「仕方無い…!皆戻るぞ!氷の神殿はまた今度だ!」
その時に響いたロイドの声にこんな状態で戻れるのか、とも思えるのだがこの場所で避難できる場所を探すのも辛い。
「これなら最初から吹雪いてくれたらよかったのにぃ…!」
「自然は常に気まぐれなのだから仕方ありません」
ジーニアスが洩らせば、プレセアが諭す。
……その姿はちらりちらりとしか視界には入らないが。
取りあえず前後左右道を見失いそうな程に真っ白な世界から何とか脱出したいのは皆も同じなはずで、ゼロスはため息を一つ吐くと180度現在の位置から身体を回転させた。
……その時。
「きゃあ!!」
「しいな!?」
ふと、しいなの叫び声とロイドの声。
それに慌てて視界を後ろに下げれば。
「…………!!?」
魔物が現れ、しいなを攻撃したのか、その雪は。
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