6万打記念小説

□雪の日の
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「大丈夫か!?ゼロ……ゼロス?」

「……だ…!」

「あ?」

「いやだ、いやだいやだ、こんなの……は、血…?いやだ嫌、いや!!」



魔物が転がっていき、ロイドが駆け寄ったがゼロスはその事に気が付いて居なかった。
一歩後ろに下がるとその場で膝を折り、頭を隠すようにその場にうずくまった。
その顔は真っ青で。
ロイドはゼロスのそれが演技でも無く可笑しい事に直ぐに気が付いた。首を横に振り何かを否定するゼロスの肩に手を置けばロイドはそのまま揺さぶった。


「ゼロス!!どうしたんだよゼロス!?」

「うぁ……や…言うな…言わないでくれ…!や……いや、いやだ…!」

「何がだよゼロス!おいって!!」

しかしゼロスは全くロイドに視線を向けないままに何かに脅えていて。
ロイドもゼロスの心が『この場』に無い事を理解した上で出来るだけ大きな声で何度も呼びかけた。
その声に他のメンバーも他の魔物を殲滅した後に声を頼りに2人に近寄って来た。

「……これは」

ゼロスの状態に、過去の事を知るリーガルは目を丸くすると苦虫を潰したような顔をした。

『神子は雪の日にトラウマを持っていて雪の降るメルトキオには絶対に近寄らない』

毎年雪の降る季節になると必ずアルタミラに来ていたらしいゼロスの、その噂はリーガルも知っていた。貴族の間では知らない人はいないと言われるまでの『神子の雪のトラウマ』の話。
この雪の降る街に着いてから顔色が少し優れないとは思っていたがここまで顕著に拒否が現れる程とはリーガルも思わなかった。

「ゼロス!?」

「……!いけない!過呼吸になっているわ!」

は、は、と次第に息が浅く早くなるゼロスにリフィルが慌てて傍に膝を下ろし深呼吸をするように訴える。
しかし、その声はゼロスには届かない。

「……すまない、神子」

その様子にリーガルは首筋に一発、手刀を落したのだった。















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