頂き物

□愛してる
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キスは寝る前と起きた時だけ、もちろんそれ以上の触れ合い等ない。公衆の面前では大胆なゼロスは、実はとても奥手だったのだ。ガイも経験がまったくなくこれが普通だと思っていたために、出会ってから数ヶ月、同室で二人きりという美味しいシチュエーションを今までまったく活用できていなかったのだ。

「あ、あー…っと、な?ほら、そういうのってタイミングとかがあるっしょ?だからその時でいいんじゃないかなーと…」
「だったらいつならいいんだ?」
「それ、は…」

わかるわけがない、とばかりにゼロスは俯く。自分だって、経験などないのに。持っていた櫛が力無く下げられた手から落ちて、カツンと小さな音を立てて床に転がった。

「…ならもういいだろ?俺だってそろそろ限界だよ、ゼロス」

いつまでも待ってはいられない。無知とは言え自分のことは良くわかる。ゼロスを抱きたいということも。

「う、ぁ…頼む、から…優しく、な?」

酒に酔った。だから求めてしまった。
そう自分に言い訳をして、ゼロスはガイを受け入れることを決意した。


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