6万打記念小説

□剣と忠誠と
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そんなことよりも、ゼロスの言葉にあの執事はどこまでやり手何だと思ったユーリであるが今回はそんな事はどうでもいい。
今回はゼロスを守る為に来たのだ。
あの執事と違い、明らかに来るとは思っていなかったらしいゼロスに半ばざまぁみろ、などと思いながらユーリはゼロスの隣に立つ。

「……しらねーぞ、死んでも」

「死なねーよ、飯なんて食わなきゃ良いんだ。下町暮らし長いんだぜ?3日くらいなら食わなくても生きていけるし、剣の腕だってあんだよ」

「……セバスめ…」

これは絶対にセバスチャンが裏で手を引いたのだとゼロスは理解すれば小さくため息をついた。
と、ふわりとゼロスのいつもより纏められた髪がふわりと肩から下に落ちた。
白と緑のタキシードはゼロスの気品らしさを嫌みなく引き出していた。装飾品はあまり好まないのかあまりブレスレットやアンクレット、ネックレスと言った物も使用していない。
他の貴族どもは嫌みな程に自分の財産や資産を見せびらかすように大きな宝石を身につけているのに、だ。

「……ゼロスは」

「あん?」

「あぁ言うのは付けねーのか?」

「邪魔だろ、戦闘とかに。ピアノ線で出来たネックレスとか前に付けてたけどやっぱ剣の方が楽だったし」

「……」

明らかに、何かの基準が違う。
まるで戦う事が、暗殺者に会う事が当たり前というような装飾品だ。
ユーリはそう思いながらゼロスの方を見た。
くるり、くるり、と紅い液体の入ったグラスを数度回してそれをテーブルに戻す。
そして隣に置いてあった小さく切り分けられたミルフィーユを取ればユーリに差しだした。

「……なんだよ」

「それは毒入ってねーよ。ランダムで俺さまが来た場所で且つまだ誰も触って無い。これから先は誰が手を伸ばしたか分からないものだから保証は出来ねーけど。……ユーリ君は甘いの嫌い?」

「…………貰う」









甘いものは寧ろ好きだ。
大好きだ。
これ、貴族会で出されるものだから一流パティシエの作ったケーキなんだけどなー、なんて呟かれてユーリの手が伸びないはずも無かったのである。











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