パズル

□8
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「ん……?」

それはレイヴンが夜中眠れずに外を歩いている時に声が聞こえて来た。















明日、ザウデ不落宮へと足を運ぶ。


それは今までずっと憧れを抱き、全てを捨ててしまった後も共に居てくれたあのお方から離れると言う事。ずっと、ずっと共にあの方の描いた夢を実現する為に共に闘い、過ごした彼を捨てると言う事。
先に捨てられたのは自分の方なのに、いざ明日闘うとなればまた心は揺れた。
ザーフィアスで対峙した時、名前を呼ばれて一瞬心臓が貫かれそうな思いをして、あの時本当にあの方と闘う事になれば、己は刃を本当に向けられたのかと聞かれれば、……今だから言えるが分からなかった。

その為に、早く寝ろよとユーリに釘を刺されたもののベッドに転がっても、眠気は全く襲っては来ずに仕方なしに気分転換にとレイヴンは深夜の人の殆ど居ない外をふらふらと歩いていたのだが。




考えたいのに、考えがまとまらない。明日、自分はどうしたいのか分からない。
本当にあの人を裏切っていいのか、それが正しいのか。
今までしてきた事は、無駄だったのか。(自分は10年前に死んでいるのだがら無駄も何もないが、あの人にとっての10年も、いやそれ以前からの事も全て無駄と言いきってしまっていいのか)そんな答えの出ない門答が頭を何度も通り抜けて、堂々巡りな思いに大きなため息を吐いたその時にその声は聞こえて来た。
















「……歌?」

ふわり、ふわりと優しい声音。
レイヴンはその声に惹かれるように歌の流れる方に向けて足を進めるのであった。


















































『ACT.8』






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