パズル

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あの高さの場所から落ちて生きているわけがないと思っていた。
しかし、気が付けば。













「……あ……?」

意識を取り戻して視界を広げた先はずっと世話になっていた己の部屋で。
そして、自分のベッドに寄りかかるようにして伏せる赤毛に気が付けば、それが何故であるかユーリには理解出来なかったのだ。





しかも



「目が覚めたか………」


その先には、長い銀髪を靡かせた男が窓辺に立っていて、ユーリは更に起きがけの回転の悪い頭を必死に動かすも理解が追い付かずにただ眉間に皺を寄せる。

「デューク……お前が助けてくれたのか?」

「私は宙の戒典を回収しに来ただけ……お前自身を助けたのはそっちの紅い髪の方だ」

「ゼロスが?」

何とか意識を失う最後の記憶を掘り出せば、デュークが人並みならない力を使って己を助けたとしか思えなくて問いかければ、深紅の瞳をデュークはゆっくりとユーリの方へと向けて否定の言葉を口にした。

「私は此処までの道案内を宙の戒典と引き換えにさせて貰っただけで、あの海から運んだのはその男だ」

「……は?」









海から、運んだ






その言葉の意味を上手く捕える事が出来ずユーリは首を傾げる。
デュークはユーリが意味を捕えていない様子に、ベッドに顔を伏せるゼロスの言葉が本当なのだ、と知った。






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