パズル
□ユニゾン!!
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「おーっさん!」
「んー?何、ゼロス君」
今日の昼ごはんは彼の当番で。
鍋でくつくつと音を立てているものにゼロスは蓋を顔を覗かせる。
「お、カレー?」
「そーよ?どーよどーよ、おっさんの作ったカレーおいしそーでしょ?」
ふわりと良い香り漂うそれに、ゼロスは自慢するレイヴンに素直に頷く。何もかもが胡散臭いがこのおっさんは料理の腕は良い。前に旅した中のおっさん、リーガルは趣味の範囲を超えた料理の鉄人であったが、このおっさんも家庭的な味で言えば中々の腕だとゼロスは思う。
しかし、今は味見をしに来たわけではない。味見をしたい気持ちを抑え、香りの良いカレーが入った鍋の蓋を元に戻してゼロスは本題に入ろうとレイヴンを見た。
「な、それよりおっさん。これ作ったら暇だろ?することは取りあえずないんだろ?なら俺さまと面白い事しねー?」
「んん?面白い事?」
ゼロスの言い方にレイヴンは、ユーリにせがまれていたデザート、プリンの作成の為に卵と牛乳を混ぜたものを型に流しながら首を傾げる。
「そ、おっさん。風の魔法得意だろ?」
「……ん、まーそーねぇ。それなりに?」
「んじゃ、よ。もし……」
そのゼロスの続く言葉にレイヴンは翠がかった蒼の瞳を見開き、次には笑みを作った。
「………ど?悪い話じゃないと思うんだけど」
「いいんじゃない?おっさん、そう言う事なら乗っちゃうよ?」
皆が皆、楽しんでいるのならば俺さまだって頼んだっていいだろ?とゼロスは戦闘を楽しむユーリの黒髪を目の端に入れて内心で思えば更に笑みを深くした。
その笑みに言葉を付けるなら「見てやがれ」だったのは、傍にいたレイヴンしか知らないのであったのだが。
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