パズル

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己の22年間、生まれ育ったテセアラ、その裏のシルヴァランドの事。
マナの搾取しあった時代で大きな戦争が起き、世界は二つに分かれマナを搾取しあう世界だった事。
己の世界にマナを取り戻す為には『神子』が『救いの塔』と呼ばれる場所で祈りを捧げなくてはいけない事。それは『神子』の死を意味する事
それで幾人もの『神子』が死んでいった事。
己は『神子』であるが、繁栄する世界だった為に『種の保存』の為の存在であった事。


『神子』に生まれた己を憎み、異母兄妹の母親に命を狙われ、結果己の母親に死なれた事。呪詛の言葉を貰った事。
己の妹が己のもしもの為に軟禁された事。
異世界の『神子』が祈りを捧げ、こちらの世界に来た事。命のともしびの消えそうな異世界の『神子』を陥れれば、妹を『神子』にしてくれると言う言葉を信じつつ、その実態に呆れを感じ、他の所にもスパイをした事。
心を許しそうになった相手に当たり前ながら信じて貰えなくて、己の居場所を失い、それでもどんなに嫌われていようが、妹だけは助けて欲しくて。
全てを掛けて命を散らした事。


ゼロスはゆっくりと語った。



目を閉じれば時折現れる彼らの顔。


今でも思い出せる、彼らの裏切られたと言う顔。





最期の涙に濡れた腐れ縁のしいな。
感情を表に出すことが極端に少なくなってしまったというプレセアちゃんも、その表情には苦痛と悲しみが浮かんでいた。
ジーニアスのガキンチョも涙を流しながら魔術を放ったっていたし、リーガルもリフィルも苦痛に顔を歪ませながら戦っていた。


して……






ロイド、も。


どうして、なんて決まってる。


俺の居場所があそこにはもう、無いからだ。
裏切りはばれてはいないが己の事を信用してくれていない彼らに、己が今更ながらに戻れる安寧の場所は無いのだ。
例え戻った所で『裏切り者』としての烙印と冷たい対応があったとしても、あの温かな雰囲気が己に向けられるわけがない。
……それは、全てを拒絶された事のあるゼロスには辛かった。

大好きだった、己が気持ちを開いた母親には呪いの言葉を。ただ一人守りたいと思い続けた妹に嫌悪の言葉を貰い、ゼロスは傷つくのを恐れるようになった。
表だけの付き合いしかしなくなった。だから、また無意識にも心を開きかけた彼らにまた、嫌悪の言葉を掛けられるくらいなら、もう死んだ方が何倍もましだったのだ。

















そう、死ねば何も聞かないで済むのだから。














しかし、己の願望叶いコレットの(クラトスが裏で動いていただろうから助かる事の明らかだが)命を盾に闘わせ死んだと思えば。












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