パズル

□13
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「どーじゃ!!うちの自慢の海鮮料理の味は!どれも絶品じゃろう?」

「あら、私の煮物の味もなかなかだと思うのだけれども」

「わ、私のは……!あの、どうでしょうっ?」

「僕の!!僕のオムライスだって美味しいんだから!!」







「あー……と」





現在、ゼロスの目の前には何処のフルコースだと言うくらいの料理がずらりとテーブルを支配していた。


その理由は一つ。


シルフの解放でゼロスに戻ってきた感覚と言うのが「味覚」だったのだ。
シルフが目覚め、彼ら一行の前に姿を現して挨拶をしていったときに、神子の宝珠にまた変化が出た。光が胸の石に吸い込まれると次は何が戻ったのかと回りの方が固唾をのんで見守ってくれるのだが、何か行動を起こしてみないと、その結果は分からない。
その為、カロルが持っていたアップルグミを、と差しだしてきたのでさして体力は減ってはいないが食べてみる事にしたのだ。
その結果は聞くまでも無く。

エレアルーミン石英林に向かう前にこうして彼らは、街でゼロスにフルコースを振る前と言う目的で寄り、普段料理当番を押し付け、たらい回しにする彼らがふんだんに各々が得意な料理をふるまったのである。
その料理の中には、今声をかけた4人以外の、あまり料理が得意でないと、面倒だと言うリタの野菜炒めなんかも混じっていて、ゼロスはとてもくすぐったい気持ちを心に抱きながら箸を手に取った。
一口、口に入れれば温かみにじんわりと広がる料理の旨味。







己がこっちに来てずっと失っていた味。

ついでに言うならば、こんなにも温かな料理をなんの疑いや毒見も無しに食べたのも何時振りだろうかとゼロスは思う。
過去、ロイド達と一緒にいた時でさえ、仲間の作った料理は誰かが口にしたのを確かめてから(ばれない様に絶対に口うるさく、回りに飽きられるほどに話をして回りの誰かが食べているのを確認してから口に入れていた事は誰も知らないとは思うが)でないと食べなかった。
だから、己が最初に、と言う事はゼロス自身が作ったものでない限り、物心ついてからは一度も無かったのだが。


「どうかしら?」

因みにゼロスが口にしたのはジュディスの作った煮物で。
首を傾げる様子に、咀嚼し、全てを飲みこんでからゼロスは笑みを浮かべてジュディスを見た。

「……美味い」

今までの、偽善の言葉ではなく。
本当にその味を食べて知っての言葉。
自分の為だけに作られたとっても過言ではない料理は本当に手放しで美味しかった。
他のオムライスや野菜炒め。海鮮料理やヴィシスワーズもそれぞれ口に運び感想を言えば、作ってくれた他のメンバーも嬉しそうに笑い、そして泣いてくれた。


「でも、俺さまだけ食べるのも多すぎるし、みんなも食ってくれね?ほら、次も行くんだろ?」

そして、もっと食べてと急かすメンバーにゼロスが本音も込めてそう言えば、皆でそれぞれが得意の一番格別に美味しい料理を囲んで食べる事になったのだ。






その後のデザートは、勿論ユーリ監督、レイヴン制作の甘味、パフェとクレープで。
ゼロスが好きなメロンをふんだんに使った料理に大喜びな様子にユーリは大満足であったが。












「おっさん。もう駄目……死んじゃう……」

「ごくろーさん」



甘味の製作にぐったりするレイヴンがいたのは、空気を読んでレイヴンが隠していた為ユーリくらいしか知らなかった。

















ACT.13









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