パズル

□赤が引きあう関係
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一目見た瞬間に似てると思った。誰かに似てる、と。
それが自分なのか、いや、世界を支配した男ミトスなのか、いけすかないマダオ天使なのかそれともそれ以外なのか。

良くは分からないが確かに誰かに似ていると、ゼロスは椅子に座りただただ外の景色を無防備に、絶望に似た瞳で見つめる男を見て思わずにはいられなかった。

















赤が引きあう関係










ザウデでレイヴン、いやシュヴァーンによってその命をこの世に留める結果となってしまった男は、これまたレイヴンと同じく命と己の大切なモノを人質に取られて敵対していた男、イエガーに寄って匿われ海凶の爪のアジトに身を隠していた。
助けたのは知っていたがその後、どうなっていたのかユーリと共に海に身を投げたゼロスは知らなかったが、その事を聞いて、なお且つレイヴンたっての希望で一行は海凶の爪のアジトへと進路を変えたのだった。

そして、話は一通り終わり、夜も遅い時間なのでそのまま海凶の爪で休むこととなったのだが。
ゼロスはどうしてもアレクセイと言う人間と一対一での会話をしたくなり、一人、与えられた部屋を飛び出してアレクセイの部屋を訪れていた。
ユーリがその事を知ると眉間に皺を寄せていたが、気になるものは気になるのだから仕方がない。相手に戦意が無いのだからと説得(丸めこんだとも言うが)し、その部屋に転がり込んだのである。


そしてどうしたかと言えば。




「私の顔に何かついているのかね?」

「んー……壮年期のおっさんにしては美形な感じの顔がついてるな」

ただただ外を見るだけの男を勝手にベッドの上に乗り上げてうつ伏せに、そして足をパタパタと振りながら顎を両手で支えながら男を観察した。
暫く無言でそのゼロスの観察を黙って受けていたアレクセイも流石に永遠に送られそうな視線に観念したらしく此方に顔を向けて問いかけてきて。

ゼロスはへにゃりと笑いながら返した。途端にアレクセイの眉間には皺が寄ったが。

「……てぇのはまぁ半分くらいは冗談でぇ、俺さまちょーっとあんたとサシで話がしたくってな。俺さまの事はもう知ってんだろ?」

「………あぁ、知っている」

部下から数度、突然現れた男が姫たち一行と一緒に旅を始めた事は報告に受けた。
既にシュヴァーンは己の手から離れた為に他のものからの話だが、どうにも武器魔導器を使用しないで戦える不思議な人種だと。
だが、それ以上は知らなかったが。





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