パズル

□17
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もう、次に目を覚ます事は無いのだと、ゼロスは思っていた。
目を覚ます事があったとしても意思の伴わない『人形』としてか、もしくは人を無差別に殺す『魔物』になっているのだと。
だが。












「う……ん?」

目が覚めた先に見えたものは天井。
雨の、窓に叩きつけられる音がゼロスの耳に入った。
それだけで今、最後に意識を失った場所と違う事だけを教えていた。
茫然と、何でとだけ思うも、ハッと意識を失う直前、己の要の紋ごと神子の宝珠を剥ぎ取ろうとしていた奴らの事を思い出してゼロスは己の胸に手を当てる。

と。

「あ……ある……」

そこには未だ、ゼロスの胸にそのままの形で残されていた。
どうして、なんで。と言う疑問がゼロスの中で生まれる。あのまま奪わない奴らではないだろうに。

その時、かちゃりと扉が開く音がしてゼロスは無意識のうちに身構え、扉の方を向いた。が。

「目が醒めたか?」

「あ……?」

そこにいたのは、銀の髪、紅の瞳をもった……



「アレクセイ?」


その名前を口にし、更にゼロスは己の状況が理解できずに首を傾げるのであった。


















ACT・17








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