パズル

□18
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「では、ユーリ・ローウェル。しっかりエスコートしてくだサーい」

「そーよ!これ以上ゼロス君泣かしたらおっさん許さないからね!」

「そうだな……大事にして貰いたいものだな」

そんな言葉と共に客室に放り込まれたゼロスとユーリ。
そんなまるで、大事な「一人娘」的な言葉をかけられたゼロス自身とそれを今日頂く「彼氏」のような状況にゼロスもユーリも目を合わせると同じ事を思ったらしい事を悟って笑みを浮かべた。












ACT.18











「……で、さ?」

「あ?」

そして一頻り笑った後、ゼロスは意を決したように、しかし視線は定まらずにうろ付かせながらユーリに声をかけた。

「えっと……心配掛けて、ごめんなさい…?」

「なんで疑問形なんだよ」

問われれば、まだ自分でそう言っていいのか分からなかったからなのだが。
アレクセイから最後に「彼らは君を本当に心配していたはずだ、仲間として。だから心配掛けた事を謝りなさい」と言われた事を実践していただけなのだが。
苦笑いを浮かべているゼロスに、ユーリは一緒にベッドに腰掛けてその頭に手を乗せた。

「そうだ、心配したぜ?俺達みんな。お前を必死に探した」

「……」

「幸福の市場に声かけて世界の情報貰って、騎士の殿堂の奴らにノードポリカ周辺頼んで、天射る矢にも手伝ってもらって」

「……必死だった。それくらい。お前は俺達……いや、俺にとって大事だ」

そして瞳をじっと見て伝えられる言葉にゼロスは思う。

本当に、これが自分に向けられる言葉なのかと。これがあの『代わりのいる神子』でしかなかった、自分なのかと。
しかし、彼の目には嘘と言うモノは見えていない。媚もへつらいも見えない。

「ゼロス……お前は心配しなくていいんだよ、お前が思っているほど、世界も人もお前を嫌ってない。だから……」

それはわかった。ユーリもそうだし、ゼロスを慰めてくれたアレクセイも一緒に助けてくれたイエガーも、付いてきただけで理不尽な思いをしていたレイヴンも、己が掴まっているのを教えてくれたらしい双子ちゃんも(待っていてくれたのかソファで二人で手を繋ぎながら寝ている姿があった)、きっと待っているのだろう『仲間』もみんなゼロスを嫌ってはいないのだ。

「俺さまは……いいのかな、『此処』にいて」

「いいだろ、誰も駄目って言ってねぇ」

「…………ユーリ君の事、好きになってていいのか?」

「俺は未だお前が好きだぜ」

「話し聞いたんだろ?」

「それでも」

問いかけに一つ一つユーリが返せば、ゼロスは視線を上げた。
そして紫暗の瞳を見つめた。

「お前が好きだ」

紫暗の瞳は真っ直ぐにゼロスの蒼の瞳を見つめながら口にした。そして近づく唇にゼロスは拒否をせず目を閉じて身を任せたのである。







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