パズル
□20
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「ごめんな……ユーリ君」
また、な。
その言葉と共に。ゼロスはその姿を消した。
表情は決意と不安とを無いまぜにしたもので。行くな、と言いたかった。
だが、それは言えなかった。
そして、その結果。ゼロスはユーリの前から居なくなったのである。
ACT.20
ー最終章ー
「ユーリ……大丈夫でしょうか?」
「こればっかりはねぇ……取りあえず。待つしかないもんねぇ……」
一行は、ゼロスのいないままの時間を過ごしていた。
いなくなってはや一週間。身体に負った傷も心に負った傷も深かったがそれでも前に進まなくてはいけなくて。
ノードポリカへと一度、身体を休めに来たまま、ユーリはふらりと闘技場へと足を進めていた。今回一番つらい思いをしていたのはユーリで。
だからこそ、ユーリの気持ちが収まるのならばと、誰もユーリの行動を止めなかった。
そして、現在ユーリは一人で200人斬りへと足を進めていた。
「どうして……こんな事になったのでしょう……」
その、一人で魔物に対峙し戦う姿を見て、エステルは手を握りしめた。その手の中には一つの翠の小さな石、ゼロスの残した唯一の、
神子の宝珠だけが残されていた。
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