パズル

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「……ねぇユーリ。あの人、どう思う?」

「あ?」



用事があった為に、ちょうど良くフェローの丘の近くを通った。その時、突然そこの岩が光り出したのを最初に発見したのは誰だったか。
場所も場所なだけに(人が登れる高さでも無ければ、魔物でさえ来る事が無いのだ、あのフェローの丘と言う場所は)不安も大きく、また好奇心もあった為に特に急ぐ用事も無い一行は満場一致でフェローの丘に降り立った。

そして一応警戒しながら既に光の消えた、その岩場へと足を向ける。
また厄介事が襲いかかったのかと内心ユーリは思いながら一行を先導しながら岩場へと近づく。その先。
そこには。


「っ……!」

「大変っ!今すぐ回復します!」

「ちょ……っ、エステル!」




出血多量。

意識不明。



赤い髪のその男は、剣や魔法による怪我を負い、血を流しながら硬い岩場に一人倒れていた。血の匂いが充満するほどの出血に一目でその状況は切迫し、今すぐに回復を望まなければ死んでしまうのではないかと誰もが理解できた。
その姿を確認したエステルが誰よりも早くに駆け寄って治癒術をかけ始めた。血だらけの死にそうな男、そんな状況に怪しいわよ、と一応声を掛けているものの、傍で座り込んだリタも戦闘態勢はしていない。
意識を失った男が危害を加える事は無いとわかっているからだ。

「あらら、変な光だとは思ったけど、まさか人が倒れているとはねぇ」

「そんな事言ってないで僕達もエステルを助けようよ!レイヴンっ!」

「はいはい、いきましょうか」

じょり、と顎の下の髭を触りながらレイヴンが率直な感想を口にすれば、カロルがその紫の羽織の裾を引く。ほっとけない重症患者のボスはエステル同様にその青年を助ける事にしたようだ。レイヴンもカロルに引かれるままに一緒に付いていき、エステルやカロルと一緒に傷を癒す為に弓を取り出せば蒼い光の注射針を彼に飛ばした。

「……こんな所で死にかけてるなんて、不思議な奴もおるのぅ」

「………そう、だな」

回復要因としては力を持たない為後ろで見てる事しか出来ないパティは(出来る事は出来るがその確立と緊急性の為にギャンブルとも言える魔法は使えないと判断したのか)ユーリの隣に立って腕を組んだ。
誰かが彼を此処まで追い詰めたとして………誰が。

フェローと言う選択肢もあったが、ユーリがジュディスに視線を向けるとその視線が合い、ジュディスは違うと言う様に首を横に振った。
そして、傷が一旦塞がればエステルが「彼を休ませたい」と訴えそのままバンエルティア号に運ぶ、と言う成り行きにと至った訳だ。




そして、目覚めたと言うエステルの言葉に事情を聞こうかと彼の部屋へと向かったのだが。






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