団長

□伊達直人参上!!
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今、アレクセイは目の前に有るものが信じられなかった。

何故なら、目の前には見た目も鮮やかな甘味達。
星食みを復活させてしまい、絶望のうちに死を選んだ己に対し、その道を選ばせなかった者達のお陰でアレクセイは現在、世界のエアルに変わる新たな力、マナを効率良く使う方法を探す第一人者として本だらけの研究室に独り込もっていた。

いや、こもらされている、の方が正しいが。
世界に災いと沢山の命を奪った罪は、マナを世界に浸透させる方法を命尽きるまでに発見、発展させることになった。
給料は生きる為の最低限必要な物のみ買える程度であり、貴族としての地位も家も剥奪された。それは当たり前と言えば当たり前なのだが。そして己を慕っていた親衛隊も解散され、己は独り、孤独な研究室で研究を続け、そして罪を償って行くのだ。
それはアレクセイ自身も理解しており、黙々と一日を費やしては、ほそぼそと暮らしていたのだ。



それ故、普段はなんの変哲もないただクロスと古い写真が入ったフレームが置かれただけのテーブルに一杯の甘味が、モンブランにイチゴのショート、プリンアラモードにショコラ、クレープなどそれこそ、所狭しとぎっしりと置かれているのがアレクセイには信じられなかった。
どういう経緯でこれが此処にあるのか。

よもや、新団長が人を殺せる程の殺人的味覚の持ち主であり、その見た目だけは美しく芸術的な甘味が実はこの前に置かれている甘味たちで、その人物の手作りで私を陥れる為に……







「…そんな馬鹿な…」


途中まで思考を巡らせてアレクセイは頭を横に振った。彼の性格は、自分が知りうる限り、そんな事が出来る人物であるはずがないのだ。
………その彼の親友だと言う、黒髪の己を斬った青年ならば考え得れるが。





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