団長
□an amoureux
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広い浴室内に響く水音に溜め息が溶ける。
赤い髪をタオルに包み、浴槽にもたれて目を閉じていたゼロスは近づく足音と気配にゆっくりと目を開ける。
命を狙われることの多い立場の為、気配に敏感なゼロスを気遣ってか少々大袈裟なほどの足音が響く。アレクセイの本来の実力ならば気付かれずに近くまでくることも可能のはずなのに、だ。
「人を呼び出しておいて風呂とはいい身分だな。」
扉を開くと同時に発っせられた声にゼロスは背中を付けていた縁から離れ振り返ってヘラリと笑う。
「だって俺様神子だもーん。」
鎧どころか隊服も纏わないラフな黒いインナー姿に腰に手を当てわざとらしいほどのため息をついたアレクセイに手招きをする。
その手の動きに気付くと少し悩んだ末にズボンの裾を膝までたくし上げ、傍に寄ってきたアレクセイにゼロスは不満げに顔を歪める。
「一緒に入ればいいだろー?」
「…いや、それは…
「なら髪洗ってくんね?」
素早い切り替えしに最初からそのつもりだったのだろうと溜め息を吐く。
袖を肘までめくり、シャワーを手に取ったことで了承を示すと嬉々として背中を向け、再び縁にもたれるゼロスの髪をタオルを解いて解放する。
「相変わらず綺麗な髪だな。ほら、目に入るぞ。上を向け。」
「…うーい。」
シャワーを髪に押し当て、飛沫が顔にかからないようにしながら普段、動く度にがヒラヒラと舞う赤い髪を濡らし、泡立てたところで少し引っ張り上を向かせる。
「……ッ、」
無防備に目を閉じ喉元を晒すゼロスを見下ろすと、湯に使った身体は当たり前のように裸で、思わずゴクリと喉がなり手が止まったことに怪訝に思い目を開けたゼロスと目が合う。
「……ン、」
しばらく見つめ合うとごく自然のことのように顔の上下は逆にだが唇を押し当てる。
「アレクセ…ッは、ん…」
泡が顔にかからないよう生え際を撫でつけて首筋を辿って浴槽に浸けて、乳首を撫でながら濯ぎを繰り返しゼロスの欲情を促す。
誘いに乗らないわけがないとばかりに身体を反転させ向き直ると相手の衣服を濡らすのを気にせずに首に腕を回し唇を重ねる。
「っん、ぅ…っふ!?」
浴槽の中に膝をつき、前のめりに口づけていたゼロスの背中にいつの間にか伸びていたアレクセイの二本の手が突き出すようになっていた尻を割り、アナルを撫でる。
そのまま抱き合うような体制で湯と背中を滑り下りていった泡の力を借りて指を埋め込む。
「ぁ、ぅ…ン、く…」
指が体内を動く度腰が跳ねる。出しっぱなしのシャワーや、浴槽に湯が落ちる音があるはずなのにやけに大きく聞こえる粘膜を掻き回す音にさらに快感が大きくなる。
「アレ、クセ…、も…早く…」
何本指が入っているのか分からないほど丹念に慣らされ、焦れたようにゼロスは声を上げる。
その言葉にアレクセイは上着を脱ぎ、床に敷いて脇に手を入れゼロスの身体を立ち上がらせる。
「そのままだといい加減逆上せるぞ。ここへきたまえ。」
この期に及んで、と恨めしげに睨むゼロスにアレクセイは楽しげに肩を竦めながら少し下がって場所を譲る。
快感に浮かされ覚束ない足取りで浴槽から出て敷かれた上着に背を向ける形で膝をつき、縁に手をつく。
「これで、いいんだ…ヒァアッ!?」
振り返り確認するように伺おうとした途端、体内を熱に貫かれる衝撃に背中を反らせて目を見開く。
「…っく、相変わらずいい締め付けだな。」
十二分に慣らしたため痛みはなかったはずだが急な挿入に息を詰まらせたゼロスに、これ以上の無茶はしないと落ち着くのを待つ。
「ハッ、はァッ…この、やろ…いきなり、何しやが…だ…」
「いや、お前があまりにも可愛くてな。我慢出来なかったのだよ。」
悪態をつく余裕が出てきたのなら大丈夫かとゆるゆると腰を揺らし始める。
次第に大きく早くなっていく動きに比例してゼロスの声も高く、大きくなる。
「ぁあ、…ぅ、アレ、クセ…アレクセイ…!」
己の名を呼び必死に快感に堪える姿に愛しさと、独占欲にかられる。
直腸をカリでこそげ落とすように強く引き抜き、前立腺を狙って勢いよく突き入れる。
「ヒッ、あ、ぅ…く、ん…」
「はぁッ、ハッ…ぅ、」
ゼロスの喘ぎ声やアレクセイの吐息、腰をぶつける音と結合部からの粘着質な音が広い浴室に響く。
やがて縁を掴む手の力が強まり、込み上げてくる射精感にゼロスは訴える。
「ア、アレクセ…俺様も…イ…っぁう、」
「ああ、ならば共に…な。」
身体を倒しピッタリとゼロスの背中に胸板を押し付けると腰に添えていた手を胸元に回し、そのまま抱き上げて膝に座らせる。
「ァア…!?ふ、深…ッ、っん…ぁあ…」
自身の体重をかけて飲み込んだゼロスは角度の違いや深さに喉元を晒して喘ぐ。
アレクセイはそのまま腰を突き上げてお互いの快感を押し上げていく。
「っん、も…無理、ィ…ぁあ…、ーーッ!」
「ー……くッ!」
ガクガクと身体を震わせて精を吐き出しながら体内を締め付ける強さにアレクセイもたまらず体内に熱い精をぶちまける。
「あ、熱…アレクセ…の…」
体内の熱さにぶるりと身体を震わせ、力の抜けたゼロスの身体を慌てて抱き留め、向き直らせるとどちらともなく口づけを交わした。
「あー、疲れた。」
それからゼロスの体力や身体の熱が戻るのを待ち、結局汚れたため衣服を脱いだアレクセイと共に浴槽つかる。
「なんでいきなり盛るかなぁ。」
「…誘ったのはお前じゃないか。」
「俺様髪を洗ってって言っただけだもーん。なのに俺様の身体見て欲情したのはアレクセイっしょ?」
「………悪かったな。」
からかうような口調に不機嫌そうに顔を背けたアレクセイにゼロスは身体を寄せる。
「ま、それだけ俺様のことが好きだってことだろ?それは嬉しいし、オレだって好きなんだから求められて拒むわけねーぜ?」
そう言って微笑むゼロスにアレクセイは何も言えなくなる。
(ああ、惚れた弱み、か…)
アレクセイはそんなやり取りすら愛しく感じる己を自覚しながら恋人同士の甘い時間を楽しんだ。
en amoureux
おしまい
あの体位が好きだと言っていたから使ってみた。あんまりエロくなくてごめん!リベンジは必ず!
かび花のだぁい好きなお友達様から頂きました!!この愛しさ大爆発な感じ!!もうもう、大好きです!!まっことにありがとうございました!!