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□天極峡花と美宮兄妹〜シゴトシュウリョウ〜後編
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「…泉は一人だった私に声を掛けてくれた最初の友達だった…。
私、凄い嬉しかったよ。」

泉の目から涙が溢れる

「自由…自由。あたしも貴女と親友になれて嬉しかったよ」

「うん。泉と親友になって毎日が楽しかった。でもね、泉の言う親友っていう言葉が重くなっていってしまったの…。
泉。覚えてるかな?私のお父さんが亡くなった時に私が貴女に何も報告しなかったら貴女が私に「どうして親友なのに話してくれなかったの」って言って私を叩いたこと」

「覚えてるよ…覚えてる!!
でもあれは貴女の力になりたくて…」

自由は顔をしかめながら続ける

「分かってる。泉は自分の事より他人な優しい人だったから」


その言葉に烟舞は初めて泉にあった時の事を思い出した



(そういえばあの時も要先輩はあたしの事は先生に言わないから…みたいな事いってた…そうだよ…生徒会長が悪いことした人を見逃すなんて…)


峡花は悲しそうな瞳をしていた
さらに自由は続ける


「でもね。あれからあたしの中で何かが壊れてしまったの。あたしにとって親友っていう言葉は苦しさでしかなかった。」
泉はもう言葉を発しない

「それでね、私は考えたの泉と親友でなくなる方法を。
最初は私が泉を拒絶すればいいと考えたわ…。
でも私に良くしてくれた泉にそんな事出来なかった。
それから本当に色々考えたの。
そしてね、思いついたの。












私が消えればいいんだって」


涙を流し黙っていた泉もこの言葉には驚いたのか顔を上げ自由に悲鳴をあげるように言った

「な…なんで!?じゃあ自由の事故は自由を虐めていた人達がしたんじゃなくて…」

「そうよ。私が自分でやったの。朝にねいつも2人でお弁当を食べる場所のフェンスのネジを外しておいたの。
後はお弁当の時にフェンスに寄りかかるだけ。」


「…!!!!!どうして…どうして!?」


「だから言ったじゃない…貴女から離れたかったのよ!!
あたしは貴女が嫌いだった!
ずっとずっとね!!
だから貴女から離れようと思ったのよ!
私の命をもって!」


「………」


「…っ…すっきりした…。これで私もあの世にいけるわ」


自由はくるりと後ろを向いた



そしてフェンスに寄りかかる



そこで彼女が何をしようとしているなかに気づいた烟栄がとめにかかる


「や!やめろ!」



走りだそうとした烟栄を峡花が止めた

「っ!峡花さん!?」



「ねえ自由。貴女はそれでいいの??
言ったはずよね。
きちんと泉に伝えなさいと。
このままじゃ貴女も成仏出来ないし泉も後を追ってしまうかもしれないことは目に見えているじゃない」



その言葉に自由は涙を流す


そして泉には聞こえないように峡花に言った
「…いいんです。こうした方が。
彼女はもう悲しまなくてすむ。
あたしの事を恨むかわりに…。」


「そんなになっても泉の事を友達…と思うなら。
きちんと伝えなさい。
貴女が良くても泉はそんなの許さないわよ」



その言葉に自由は顔をしかめ、峡花と泉を交互に見つめた



「卑鳥先輩!!」
そこに烟舞の声が響く

「あ、あたしは何にもしらないし口を挟んじゃいけないこともわかってるけど、今の言葉が本当じゃないならきちんと卑鳥先輩の気持ちを伝えた方がいいと思います!」


そこに烟栄も続けた
「そうですよ…。貴女は要さんに会って話せるチャンスを神に頂いたんだ。それを嘘で終わらせてわいけない…!」


自由は三人の言葉をかみしめるように泉に一歩一歩近づいていった



それに気づいた泉が顔を上げた



「じゆ…うっ…」



その顔は涙でぐちゃぐちゃになっていた
「ご…めんね、あた、し自由がそんな風に苦しんでるなんてしらなく、て…」



そして泉は自由に謝った
何度も
何度も



自由はそれをみながら涙を流し泉の前に座り込んだ



「いず…泉…ごめ、ごめんなさい…。私、嘘、ついたの」



「え…?」


自由は泣きながらも話す

「最初のは本当…っ!でも泉の事が嫌い…っていったのは嘘なの…っ!
私知ってた…から、泉が放課後にここにきてないてることっ!
だからあたしの事なんて忘れて欲しかったの…!
泉には、笑顔でいて欲しいからっ…!」



それを聞いた泉は涙で濡れた顔を上げ自由に抱きついた


「自由…!自由!ごめんね!ごめんね!
あたし…もう泣かないからっ…
人を殺そうなんて考えないからっ!」


「うん。うん。泉、大好きだよ。私泉の事、ずっと見守っているから。
私泉と親友になれて、良かった。」



さようなら




そして自由の体から光の粒が溢れ出し消えていった






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