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□天極峡花と美宮兄妹〜シゴトカイシ〜中編
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チーンと鐘の鳴る音が仏間に響いた。



烟栄と烟舞は仕事と言うことは隠し、自由さんの事故の事で色々聞きたい事があると言いなんとか自由の家に入らせてもらった。



烟栄と烟舞は自由の母がお茶を入れてくるはねと席を立つと同時に仏間の場所を教えて貰い線香をあげさせてもらった



しばらくした後、自由の遺影を見ながら烟舞が言った。

「…卑鳥さんって、こんなに可愛い人だったんだね…。なんで事故なんか…」

「そうだな…。」


2人が話していると自由の母がお茶と菓子を持って部屋に入って来た



「こんなものしかないけど…良かったら」



■□■□■□■□■□■



3人は仏間の隣の部屋で向かい合わせになり座った。


しばしの沈黙の後、烟栄が
「…さっそくなんですが…自由さんはどんな方だったんですか?」
と切り出した


母親は最初は口ごもっていたが少しずつ卑鳥自由について話し始めた



「…あの子はね、根はとても優しい子なんだけど、人見知りをする子でね…。
そのせいで良くクラスでも1人でいたらしいわ…。でもね泉ちゃんが根気よく話しかけてくれてねぇ…そのおかげで自由は泉ちゃんに心を開いて他の子達とも少しずつ打
ちとけていってね………私は今でもあの子が生きてるんじゃないかって思うの…あんな…小さなネジ一本にあの子の命を奪われてしまったなんて…まだ信じられないの…」

それだけ言うと母親は目頭をハンカチで抑え再度黙ってしまった。



烟舞と烟栄はこれ以上話を聞くのも悪いと思い話を切り上げお礼を良い帰ってきた



その帰り道烟栄はふと思った事を口にした


「なあ烟舞」

「なあに?お兄ちゃん」

「僕達は自由さんを成仏させるために色々してるだろ?」

「うん」

「自由さんの霊をお前はみたことがあるのか?」

「え?」

「自由さんの霊がいるって騒いでたのはその話しをしてくれた女の人だけなんだろ?」

「うん…だから?」

「僕達は自由さんの霊を見ていない」

「?………あ!」

「確かめなきゃいけないんだよ。この目で。本当に自由さんの霊がいるのかを」



2人はしばし夕暮れの道に佇んでいた
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